ITSの概要と市場動向を把握しよう
ITSとは
ITSは人と車と道路を情報通信技術等でつなげ、快適で安全な道路交通を目指すシステムを指します。こうしたシステムは事故や渋滞、環境汚染など交通に関わる様々な課題の解決に貢献します。 ITSの具体的な導入的な例としては、カーナビゲーションシステムが挙げられ、渋滞の回避や、道に迷うリスク回避等に役立てられています。 また、ETC(自動料金支払システム)は、料金所の渋滞解消に寄与しています。この他、自宅にいてもバスの現在地を把握できるバスロケーションシステムは、待ち時間の減少を可能としました。 このようにITSは様々な箇所に利用され、日々の生活に役立てられています。
ITS市場の動向
現在のITS市場においては、自動運転技術・車両に関する技術開発がトレンドになっています。自動運転に関しては運転ミスによる交通事故の減少や渋滞緩和、環境負荷の低減等、安全・円滑な道路交通の実現に大きな役割を果たすと期待されています。また、自動車関連産業のグローバルな競争力強化、運輸・物流など関連産業の効率化といった観点においても自動運転技術の開発・実用化は非常に重要であり、国も積極的に支援していく考えです。
経済産業省は、自動運転に関しては世界最先端のレベルを目指すと明言し、政府が策定した国全体のロードマップでは、商用車において、近いうちに高いレベルでの自動運転が可能になると謳っています。
すでに国内の商用車メーカー2社が連携し、自動運転に関する新たな技術を共同開発し、随時製品に搭載を進めています。この技術は「視界支援」「路車間通信」「加減速支援」「プラットフォーム正着制御」の4つで構成されています。
「視界支援」はドライバーが車両に設置されたカメラを活用し、モニターで映像をチェックすることを可能とするものです。車外カメラが車両停止時に周辺の物体を検知してくれるため、事故防止に役立ちます。
「路車間通信」とは道路と車両に設置された機器との通信のことであり、ドライバーに道路環境に情報を伝えることにより、事故防止・公共交通の効率化が期待できます。
3つ目の「加減速支援」は、先行車の加減速の情報を後続車に伝達するものです。こうした技術により車間距離を正確につかみ、無駄のない加減速を実現できます。
最後の「プラットフォーム正着制御」は路面に描かれた誘導線をカメラでとらえ、自動運転技術によって、バス停へと誘導する仕組みです。精度の高い正着を実現することによってバスとバス停の間の段差の解消でき、バリアフリーに寄与することが期待されます。
また近年、ITSは災害対応にも役立てられています。東日本大震災では、停電等により交通情報収集システムが十分に機能しませんでした。こうした反省から特定非営利活動法人であるITS Japanでは大規模災害発生時に車両の運行状況を集約・公開できるシステムを開発・実用化し、「自動車運行実績情報」としてホームページ上で公開しています。こうした情報は被災地周辺の道路状況の把握、救援や物資輸送における経路検討に役立っています。
今後の展望について
このようにITS市場は今後、急速な発展が期待できる分野です。但しITSの進展は技術的蓄積や制度の改定によるところが大きく、今後どのように進展していくかは自動車メーカーの開発動向や世界の主要国の規制動向次第です。日本においては路車協調安全運転支援システムや次世代交通運用システムの整備、ITS情報通信基盤の構築などが今後のテーマとなっており、実用化に向けた開発が進められています。
ITSに関する市場動向は常に変化しており、これらの領域に参入したい企業は業界動向を絶えずチェックする必要があります。そうした業界動向の把握は手間も掛かり、自社のリソースでは難しい企業もあるでしょう。そうした際に役立つのが市場調査会社です。専門の調査員が有益な情報を収集にあたってくれます。情報収集を行うリソースが不足していたり、十分に情報が収集できていない企業は市場調査会社の活用も検討してみましょう。