抗ウイルスの概要を把握しよう
抗ウイルスとは
抗ウイルスはウイルスを不活性化させる行為を指します。具体的にはウイルスの外部組織を破壊し、生物の細胞に侵入・増殖させないようにし、活動を停止させることです。
一般的な抗ウイルスの方法はアルコール・次亜塩素酸ナトリウムを含む消毒剤の活用です。なお、抗ウイルスと混同しやすい言葉として挙げられるのが抗菌です。抗ウイルスと抗菌に、それぞれどのような違いがあるのか解説します。
ウイルスと菌の違い
抗菌とは細菌を増やさないための行為です。細菌とウイルスは混同されやすいですが、大きさ・構造・感染方法において明確な違いがあります。 細菌の大きさは1〜10μm程度であるのに対し、ウイルスは約数10~数100nm程度の大きさであり、大きく異なります。
また、細菌、ウイルスとも他の生物に感染して、増殖する性質を持ちます。但し、増殖の方法は異なります。細菌の場合、細胞分裂により自ら増殖し、他の細胞を攻撃することで病気を引き起こします。
一方、ウイルスは細胞を持たず自己増殖できないため、細胞に侵入し、DNAやRNAの増殖機能を利用して増殖していきます。このように細菌とウイルスには大きな違いがあり、抗菌と抗ウイルスでは効用が異なる点をよく理解しましょう。
抗ウイルスに対応した製品とは
抗ウイルスに対応した商品は様々な分野に存在します。具体例は以下の通りです。
日用品:三角コーナー、まな板、スポンジ、ラップ、フィルム、ゴミ箱等
住宅用建材:壁紙、便器・便座、洗面台、キッチンカウンター、化粧板等
その他:輸送機器、通信機器、食品搬送ベルト等
抗ウイルスに対応した製品の事例を挙げると、まずメラミン化粧板があります。2016年に国内初の抗ウイルス機能を持ったメラミン化粧板が発売され、こうした製品の中には一般のメラミン化粧板と比較し、99.9%以上の抗ウイルス作用を持つものもあります。
また、抗ウイルス機能をもった高機能フィルムは銀イオンの効果により、ウイルスの増殖を99.9%以上抑制可能であり、トイレの10倍以上の菌が付着しているといわれているスマートフォン等のタッチパネルにこうした製品の活用が期待されています。なお、こうした抗ウイルス対応製品の品質を担保するため、抗菌製品技術協議会では抗菌・抗ウイルス等の認証(SIAA)を設けています。
このSIAAのマークがついていれば、抗菌性・安全性・適切な表示の3つの観点で、公的な基準に則った製品と認められたものであり、消費者側からみた場合、製品を選ぶ際の基準となるでしょう。
抗ウイルス市場の動向
2020年における国内の抗ウイルス素材市場は、2019年と比較し大幅に拡大しています。これは新型コロナウイルス感染症の世界的流行に伴い、抗ウイルス素材の需要が高まったことが要因です。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐには生活空間における感染リスク低減が重要だと考えられているため、抗ウイルス作用を備えた素材や関連用品の開発が進められています。
具体的には「建材・インテリア」「医療・寝装品」「衛生用品」といった分野はニーズが高く、開発が積極的に行われています。
このように抗ウイルス市場は今後成長されていますが、もし新規参入を検討している場合には、まず市場調査の実施をお勧めします。市場動向は刻々と変化しており、最新の市場動向等に関する情報を把握していないと、参入リスクが大きく高まるためです。
市場調査にあたっては市場調査会社を活用することにより、自身で調査を行うよりも有益な情報を収集可能です。もし、抗ウイルス市場への参入を検討している場合は、市場調査会社の活用も併せて検討しましょう。