業務用プリンタの概要とその市場動向
業務用プリンタと家庭用プリンタの違いは?
プリンタには業務用と家庭用の2種類が存在しており、もし事業を新たに開始する際、どちらを購入すべきか悩む場合もあるでしょう。ここではまず業務用プリンタと家庭用プリンタの違いを説明します。
耐久性
耐久性は、業務用プリンタの方が家庭用プリンタよりも優れています。また、業務用プリンタの場合、料金が掛かりますが業者による定期メンテナンスが受けられるため、長期間使用することができます。
コスト
1枚の印刷にかかるコストという観点では、業務用プリンタの方が費用を押さえられます。メーカー・機種にもよりますが、一般的にカラー印刷では業務用プリンタは家庭用プリンタに比べ、1枚当たりの単価が3分の1程度となっています。一方、消耗品であるインクの購入費用は業務用インクの方が高価です。
印刷方式
家庭用プリンタは、インクを用紙に吹き付けるインクジェット方式が主流です。一方、業務用プリンタはレーザービームで用紙にトナーを付着させるレーザー方式が用いられます。レーザー方式は基本的にどのようなタイプの印刷も可能であり、A4サイズの資料やカタログ、A3サイズの図面、さらにサイズが大きなポスターなど柔軟な対応が可能です。また、インクジェット方式では最初の印刷において色が変わって出てくる場合があります。このため、品質を重視する場合には試し印刷を行う必要が出てくるかもしれません。一方、業務用プリンタであればこのような問題が生じず、効率的に作業を行うことができるでしょう。
印刷スピード
業務用プリンタの方は家庭用プリンタと比べ、印刷スピードに優れています。家庭用プリンタに用いられるインクジェット方式は、乾燥を待つ時間が生じるため、印刷に時間がかかります。一方、業務用プリンタは大量の枚数を一度に印刷できるため、待機時間を少なく済ませることが可能であり、作業短縮化・業務効率化が期待できます。
業務用プリンタ市場の最近の動向
業務用プリンタ(主に電子写真プリンタ<レーザープリンタ>)の市場動向はどのようになっているのでしょうか。電子写真プリンタの世界市場規模はコロナウイルスの感染拡大に伴う影響もあり、縮小傾向にあります。
なお、プリンタはモノクロ向けとカラーにも対応したものと2種類がありますが、現状ではモノクロが今もなお市場全体の8割を占めています。また印刷機能のみ備えたタイプと比較して、複合機(MFP)が占める比率が増加している点も興味深い傾向です。
今後の展望
世界的にペーパーレス化の波が押し寄せており、今後印刷需要は減少していくと見込まれています。このため、複合機・コピー機市場は30年後に、現在の半分以下の市場規模に縮小するともいわれています。特に直近の新型コロナウイルスの影響に伴い、在宅勤務の割合が増加し、職場で紙を印刷する機会が大きく減少しました。
実際にプリンタや複合機から出力されたページの総数を示すページボリュームは、2020年の1年間で大きく減少しました。一方、在宅やコワーキングスペース等における印刷ニーズは堅調であり、今後ますます高まっていく可能性があります。
状況が激変する今後のプリンタ市場の動向を詳細に把握するには、市場調査の実施をお勧めします。市場調査では現在の市場規模や競合他社の動向などが把握でき、事業判断を行う際には非常に有用です。これらの業務に特化している市場調査会社の利用も含め、市場調査を積極的に行いましょう。