ユーザーのニーズをコンジョイント分析から考える
コンジョイント分析とは
商品やサービスを提供する際、ユーザーがどのような点を評価して商品やサービスを選択しているのか、当事者にはなかなかわかりません。商品やサービスを提供する側に立って考えてしまうと、ついついバイアスがかかってしまいがちです。
また、企業側からみると、商品開発において、多機能化を図るべきか機能を絞り込むか、機能のレベル感と価格設定のバランスは何が最適なのか? 判断に迷うケースは多いのではないでしょうか?消費者にとっては高機能でかつ価格が安いに越したことはないでしょうが、企業側からみるとそれは現実的ではないケースが多いのではないでしょうか。コンジョイント分析はこのような問題を解決するための分析法の一つで、さまざまな商品やサービスの価値を図ることができます。
コンジョイント分析は、個別の要素毎に、A要素の重要度が〇%、Bの要素の重要度が〇%というように評価するのではなく、各種の要素を組み合わせて商品として提示し、商品全体を購入したいかを評価をすることで、個々の要素の購買に影響する度合い(部分効用値)を算出する多変量解析を用いた分析方法です。いわば、どのような組合せの商品であれば消費者の購買意識が高まるのかを分析する手法といえます。
例えば、携帯電話を開発する際に、写真の画素数、画面サイズ、価格、容量、メーカーなど要素で見た場合、どの組み合わせの製品スペックがよいのか消費者ニーズに基づき検討するシーンで活用されます。個別の重視度を質問するのではなく、いくつかのスペックを組み合わせた製品を提示し、何が一番購入したいか?を質問することで、消費者の商品選定要因を明らかにする方法です。
この調査方法は、店頭で複数のスペックや価格が掲載された中から選定する実際の消費行動に似ているため、実態に近い傾向が把握できる可能性が高いとも言われます。消費者は当然、デザインが良くて、画素数も高くて、価格が安い商品が良いと思いますが、実際にはそのような商品はなかなかありません。
「この画素数だったら価格がいくら」、「このブランドであれば、価格いくらまでなら妥当」といったことを検討する際に活用されます。
調査を行う際のポイント
コンジョイント分析は、商品やサービスの価値を構成する複数の要素から、優先される要素を導き出す分析法です。ユーザーが求める優先順位を調べるには、まず商品やサービスを構成する要素を挙げていきましょう。
例えばボールペンを構成する要素として、値段、書き心地、耐久性などが挙げられます。どんなに性能の良いボールペンでも、100円以上費用を払いたくないというユーザーもいれば、どんな環境でも使えるよう、耐久性を重視するユーザーなど、考え方はまちまちでしょう。
コンジョイント分析ではそうしたユーザーに対し、値段がとにかく安く書き心地が非常に悪い商品や、耐久性や書き心地に優れる代わりに非常に高い商品など、様々な構成要素パターンの商品の中から、どの商品が欲しいか順位を付けて評価してもらうことで、どの要素が重視されるのか明らかにすることができます。
ただし、各要素の組み合わせパターンを全て提示して消費者に選択してもらうには数が膨大になりすぎて無理があります。そこである程度提示するパターンを絞って質問することになりますが、提示するパターンは、直交表など統計的な要素を踏まえて作成する必要があります。
このような形で作成されたパターンをコンジョイントカードといいます。
分析の方法は?
コンジョイント分析は、コンジョイントカードを用いたアンケートに基づき分析を行います。構成要素すべての組合せから「直交表」を用い、一部の組合せのカードを作成し評価を得ることで、アンケートで提示していない組み合わせパターンの評価も分析することができます。
アンケート結果に基づき、目的変数(購入)に対する影響度(効用値)を算出することで、購入可能性(効用値の合計)を下げない範囲で、どの要素(機能や価格)を上げたり、下げたりすることが可能かをシミュレーションすることが可能です。
このようなコンジョイント分析を行うには、専用のソフトを用いるケースが一般的です。
コンジョイントカードの作成等、専門的な視点が必要になりますので、専門のリサーチ会社に相談することをお勧め致します。