冷却塔の概要と市場動向を把握しよう

冷却塔とは

冷却塔は、冷暖房や空調設備に利用する冷却水を冷やすために使用する装置です。冷却水は温度調節の役割を担っており、繰り返し冷却水を使用するためには冷却塔の力が必要になります。

冷却塔は水が蒸発する際に周囲の熱を奪っていく気化熱の仕組みが採用されています。具体的には、冷却水を冷却塔に流し入れます。そして別に取り入れた冷却塔内の外気と接触させることにより、冷却水の温度が低下します。また、ファンを使って強制的に外気を水に当てるため、高い冷却効果を期待できます。

また、冷却塔の主な種類には、開放式と密閉式の2つがあります。

開放式の冷却塔は、外気と冷却水を直接接触させて冷却を行う構造です。外気に触れると一部の冷却水が蒸発し、気化熱の作用で温度が低下します。

対して密閉式では、外気と冷却水が直接接触させず、冷却塔内の散布水と外気を接触させ、その気化熱の作用により、配管内の冷却水を冷やします。冷却水が管内にあるため、汚れにくく、開放式と比較すると冷凍機や付随設備のメンテナンス頻度を抑えられます。

 

冷却塔市場の動向

近年においては、従来のプラント向けに加えてIT機器の稼働により大量の熱が発生するデータセンターにおいて冷却塔の利用が増加しており、市場拡大に繋がっています。一方、冷却塔のネックは水質や設備管理に掛かるコストです。冷却塔の水質管理には工業薬品が使用されるケースが多く、その排水は環境面に影響を与えます。また、薬品を使用しないと、冷却塔の内部には赤錆やスケールが付着していきます。こうした不純物は冷却塔の正常な機能を阻害するため、絶えず取り除かなければならず、大変な労力が発生する点はネックでしょう。最近では電力や化学品を利用せず、冷却水を再利用する研究も行われており、こうしたものが実現すればより環境に優しい、省エネにも対応した製品が上市され、市場の拡大を促進すると期待されています。

今後の展望について

冷却塔市場は、今後も成長が見込まれています。化学プラントやデータセンター等における冷却塔の需要は堅調であることや、省エネに関する環境規制も追い風になると期待されているからです。また、巨大冷却塔が必要となる原子力発電向けにおいても、今後は昨今のエネルギー情勢から新設が再開されると見込まれるため、冷却塔メーカーにとって追い風となる可能性が高いと期待されています。

なお、地域別にみるとプラントやデータセンター、発電所等の新設の多いアジア太平洋地域の需要の大半を占める状況に大きな変化はありません。

このように冷却塔市場は成長が続くと予測されていますが、エリアによって需要の強さは異なります。もし、当該市場への参入を検討しているのであれば、市場動向に関する情報の収集と分析を行うことをお勧めします。その際、役に立つのが市場調査会社の活用です。

市場調査を実施することにより、参入企業や企業ごとのシェア率、詳細な市場予測など、様々な有益な情報が入手可能です。今後の事業展開に資するマーケットリサーチを実施していく上ではまず、専門の市場調査会社の活用をおすすめします。

 

 

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