CSR活動を有用なものにしていこう
社会に対する責任
時代とともに、企業には社会からさまざまな役割が求められています。CSRはそのひとつで、倫理的な部分からどのように社会に貢献していくべきか、また改善していくべきか、その責任を問われるようになりました。企業が存続していくため、利益を追求することは必要なことです。株主などに対する責任もあるでしょう。しかし、企業が社会の中に存在している以上、社会に対しても一定の責任が発生します。社会全体をあらゆるステークホルダーという意味に置き換えると、企業も社会に対してどのような影響を及ぼすのか考え、行動しなければならない時代となりました。
社会に対して無責任な企業は、消費者側からも淘汰されていく時代です。現在は、企業のCSRに関して直接的な評価も下されるようになってきました。例えばSROIのように具体的な数値によって評価を行う事例もあり、企業のCSRにおける役割はますます重要視されています。
CSRにおいて基本となっているものに、説明責任があります。現在、CSRに取り組む企業の多くは主にホームページにおいてその内容を開示し、情報の発信を行っています。発信源は企業側であるため、当然のことながらどのような情報を提示していくのかは、企業側が握っています。社会からどのような情報が求められているのか考え、適切な情報を提供することにより、企業のイメージアップにつなげていくことが大切です。
社会貢献ではなく責任
CSRが浸透してくるにつれ、その重要性はさらに高まっており、ヨーロッパにおいてはCSR活動が企業経営を行う上で重要な施策になっています。CSRは社会貢献というイメージがありますが、本来は事業を行っていく上で、ステークホルダーに対する責任です。CSRは事業を行う上での責任であり、後から必要に迫られ行動に移すものではありません。また、高いレベルでCSR活動を行うには経営陣やCSRの部門だけではなく、各従業員まで一貫して同じ方向性を向いて取り組んでいかなければなりません。そして社外活動なども取り込みながら活動していく必要もあります。
企業として社会に対する責任を持ち、中長期的な視点で継続的に活動していくことは企業価値の向上につながってきます。今後も企業は時代の要求を踏まえて、CSRの観点から事業の改善を進めていかなければならないでしょう。
勘違いされることが多いのは、法令順守や労働環境の改善だけをおこなっていればよいと思ってしまうことです。これらもCSRに含まれますが、より企業の中核戦略としてさまざまなステークホルダーに対応していくものにしなければ、社会的責任を果たすことができません。このため、CSRにおいては場当たり的な対応ではなく、社内で協議を重ねたうえで継続的に実行できる計画を立てなければいけません。
他社のCSRに関する取り組みを参考にする
CSRに熱心に取り組むことは、企業の業績拡大に好影響を及ぼします。これは従業員、顧客、地域住民などステークホルダーに対し、プラスの印象を与えていけば、その企業のサービスや製品が支持されるようになっていくからです。日本では企業業績とCSRは関係がないと思われがちですが、そういった考えはすでに時代遅れです。CSR活動に取り組み、それらの活動が社会に対して影響を与え、結果的に自社の利益につながることをまず認識しましょう。
そういった意味ではCSRは企業の成長戦略ともいえます。どのように取り組んでいくかは今後の企業の生き残りに関わるでしょう。
まだ、CSR活動に取り組んだことのない企業、または取り組んでいるものの、今一つ成果が出ていない企業は他社の優れた事例を参考にしてみることをお勧めします。特に専門の調査会社に依頼をすれば、業界におけるCSRのトレンド、各社の取り組み状況などさまざまな情報を収集できるようになるでしょう。
こうした情報を参考に、今後はCSRをただ情報開示するものという認識を改め、企業における中長期的な成長戦略として、継続的に取り組んでいきましょう。