電動ショベルの概要と市場動向を把握しよう
電動ショベルとは
電動ショベルとは電動モーターを使用し、環境や安全面に配慮した次世代型のショベルカーです。
特徴1. 人・環境に優しい
電動ショベルの最大の特徴は電気が動力源となるため、エンジン式のように排気ガスが発生しない点にあります。このため、現場の作業員の健康や周囲の環境に影響を与えずに作業を行うことが可能です。
また、電動モーターを使用するため、エンジン式と比較して大きな音が発生しません。このため、夜間工事や病院・学校の近くといった周囲への配慮が必要な場面でも作業を行いやすくなります。また、騒音が抑えられるため、作業現場での作業員同士のコミュニケーションも円滑に進み、作業性の向上も期待できるでしょう。
特徴2. 快適で安心
エンジンではなく、電動モーターを採用しているため、オペレータに対する振動が大きく軽減されています。また、車体の発熱量も減少しており、夏場は従来と比べ、快適に作業を行うことができ、作業中のストレスや疲労感の軽減が期待できます。
電動ショベルの動向
2000年代後半にハイブリッド式油圧ショベルが登場して以降、現在に至るまでの電動ショベル市場動向は以下の通りです。
2000年代後半にハイブリッド式油圧ショベルが登場
従来の油圧式ショベルは他の建設機器と比べて稼働台数・稼働時間ともに多く、コスト削減や燃料削減による環境負荷低減へのニーズが高まっていました。
このため、日本の建機メーカーは2000年代後半より、相次いでハイブリッド式油圧ショベルの販売を開始しました。このハイブリット式油圧ショベルの動力源は「ディーゼルエンジン+モーター」であり、この時点において完全な電動化は実現できていませんでした。
その後、油圧式からハイブリッド式への転換が徐々に進む中、完全な電動化も期待されるようになり、建機メーカー各社は電動ショベルの開発に乗り出し、現在、ミニショベルにおいては一部実用化され始めています。
電動ミニショベルの開発に注力
電池の容量・価格やパワーの問題もあるため、各建機メーカーはまずミニショベルのクラスにおいて電動化の開発を進めています。建設機器の需要は景気動向などの影響を受けやすい特徴がありますが、ミニショベルは都市部での利用が多いため、需要が比較的安定しており、作業面や環境面をPRすればそれなりの需要が期待できると期待されています。
このため、3~8トン級の電動ミニショベルの開発が進められており、2021年以降続々と上市される予定となっています。
今後の展望
今後はさらに大型レベルについても電動化が検討されていますが、電池のコストや稼働時間、充電性能等の問題があり、実用化には時間が掛かるとみられています。このため、リチウムイオン電池の技術が発展しバッテリーの大容量化・小型化等が進展すれば、電動ショベルの市場はさらに大きく拡大すると期待されています。
一方、電動ショベルを含め建設機器は景気の影響を受けやすい市場であるため、景気が悪化した際には大きく業績が落ち込むリスクがあります。このため、新規でこうした分野に参入するのであれば電動化の進展動向や需要動向をよく見極める必要があるでしょう。
可能であれば市場調査会社に市場調査を依頼し、これらの動向に関する情報を収集した上で参入を検討した方が、リスク軽減に繋がるでしょう。SDGsが世界共通の目標となりつつある中、電動ショベルは今後大きく飛躍することが期待できる分野です。新規参入や事業拡大を積極的に検討していきましょう。