電気自動車の市場動向を把握しよう
電気自動車の市場動向を把握しよう
電気自動車の歴史は古く、1830年代に英国で発明されたと言われています。1900年代頃にはアメリカなどでも広く普及が始まり、日本においては1910年代にアメリカ製の電気自動車が輸入され、徐々に存在が知られるようになりました。
化石燃料が枯渇している日本において、電気自動車は魅力のある製品であり、この頃から国産車の開発も行われるようになりました。その後、1950年代頃までは一定の需要がありましたが、電池用の鉛の価格高騰や低価格なガソリン車の普及もあり、電気自動車はほとんど見かけなくなってしまいました。
その後、1990年代に入ってくると、世界的に大気汚染や地球温暖化が問題視されるようになり、排ガスを出さない電気自動車は再び注目されるようになりました。この頃から各自動車メーカーは電気自動車の開発に力を入れはじめ、2000年代に入ってから新製品が販売されるようになりました。
環境意識の高い欧州を始め、大気汚染が深刻な中国を中心に普及に力を入れており、今後の需要拡大が期待されています。
電気自動車(EV)業界の今後
日本においては2030年までに新車販売において、電気自動車を始め次世代自動車の割合を、半分以上に引き上げる考えです。普及にあたっては税制面において、重量税を免税、自動車税を減税するなどの優遇措置を設けています。
また、電気自動車を普及させるため、国では自動車に搭載する全固体電池の低価格化や、蓄電池の性能向上にも力を入れていく方針です。さらにワイヤレス充電方式の開発と普及、電池のリサイクルやリユースなど社会インフラ整備も進めていく予定です。このため、今後は電気自動車の関連分野への投資も増えると見込まれます。
世界に目を向けると、欧州では、自動車のCO2排出量規制を2021年からより厳しくすることが決定しています。また、中国では2019年から電気自動車を含む環境対応車の製造販売を義務付ける規制を、各自動車メーカーに対して導入しています。
こうした動きもあり、 市場調査の予測では、2030年代には世界の新車の半分以上、2050年には新車のほとんどが電気自動車になるともいわれており、今後の市場拡大が期待されています。 このように、注目を集める電気自動車ですが、ガソリン車と比べると構造はシンプルであり、技術的な蓄積があまり必要ないため、既存の自動車メーカーだけでなく、ベンチャー企業や異業種からの参入も多く、競争が激化するともいわれています。
2020年にアメリカで開かれたデジタル技術見本市では、ソニーが電気自動車の試作品を発表しています。市販の予定はないものの、発表された車はレベル2の自動運転機能を搭載し、車内で音楽や映像などを楽しめるものとなっており、今後の自動車の未来を予感させます。
このように電気自動車の普及は待ったなしであり、世界中で開発に力を入れ、様々な機能を取り入れつつ、さらなる進化を遂げていくでしょう。
電気自動車における課題
今後の普及が期待される電気自動車ですが、課題もあります。たとえば、現在の性能では充電を行うのに数時間かかってしまうこと、加えて、充電できるEVスタンドが十分整備されていないため、こまめに充電できないことなどが挙げられます。
さらに、バッテリーの性能を高め、さらなる走行距離の向上も課題の1つです。現状のバッテリーでは大量の電気が必要であり、その電気を安定的に供給するために火力発電が必要となり、エコの観点から矛盾が生じてしまいます。このため、少ない電気で長い走行距離を実現できることは電気自動車の普及における重要な鍵といえるでしょう。
EV(電気自動車)業界は日進月歩で進展しており、自動車や電池の性能、充電システムにの向上に留まらず、MaaSやCASEといった自動車業界全体のトレンドとの連動し、発展していくと思われます。もし、電気自動車に関心を持たれている場合、業界の進展が早いため、逐一情報のキャッチアップが必要です。
専門性を有する市場調査会社などを利用して、必要な情報の入手に努めましょう。