電子カルテの概要とその市場動向

電子カルテとは?

従来、患者の診療内容や診断結果・処方箋などを記載したカルテは紙に記録されてきました。それをパソコンやタブレットなどで作成・編集し、電子データとして保存できるようにしたのが電子カルテです。

電子カルテの情報はクラウドサーバーに保存し、パソコンやタブレットなどから何度でもアクセスできるようにすることも可能です。 電子カルテの導入は、医療スタッフの情報共有や業務効率化を促進させ、医療サービスの向上が期待できます。

電子カルテには看護師の看護記録、医師の診察記録、薬剤師の処方記録などの患者の総合的な医療情報が一元化されており、関係部署間での情報共有がスムーズに行えます。 また、紙カルテのように保管スペースが必要になりません。

紙カルテの場合、患者が増えるにつれて保管すべき資料が増え、大規模な病院では広大な保管スペースが必要となってしまいます。加えて、保管資料が増えると、その中から必要な資料を探し出す手間も大きな負担となります。

一方、電子カルテは保管スペースを必要とせず、資料の検索も容易であり、こうした問題を解消できます。 さらに、紙のカルテは手書きであるため、内容が読み取れず誤読によって伝達ミスが発生する可能性もありますが、電子カルテはそういった問題を防ぐことができます。

さらに、電子カルテはフォーマットを準備できるため、病気や症状ごとにテンプレートを作成しておけば、決められた部分を入力するだけで済むため、記入の手間を大幅に削減できます。 また、文字だけでなくレントゲンなど画像データも取り込み可能であり、コメントを付けるなど画像の加工も容易であるため、医師は患者に対して分かりやすい説明資料を作成することができます。

このように電子カルテには様々なメリットがあり、今後の普及が期待されています。

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電子カルテの普及率と現状

現在、電子カルテは積極的に普及が進められており、厚生労働省が実施した「電子カルテシステム等の普及状況の推移に関する調査」によると、一般病棟における普及率は、平成26年の34.2%と比べ、平成29年では46.7%と上昇しています。

病院の規模別でみると、大病院(病床数400以上)では85.4%と高い普及率を示す一方、病床数200未満の病院では37%と、普及率に大きな差が生じています。

この原因は、電子カルテの導入に要する費用がかなり高額なためです。導入にあたってはサーバー設置・保守などさまざまな面で費用が生じ、ケースによっては数千万円規模の予算が必要となるため、資金に余裕がない中小規模の病院においては導入のハードルが高いのが実情です。

電子カルテ普及の課題

電子カルテの導入が進まない原因は、費用だけではないとみられています。1つはITスキルに乏しい高齢の医師の存在です。医師は若手の人材不足に悩み平均年齢が高い職業です。年配の医師に多いのが「紙カルテの方が書きやすくて便利だ」という意見です。

電子カルテは、本来なら業務効率化に寄与するものですが、慣れるまではどうしても時間がかかってしまうケースも散見されます。特にITスキルに乏しい高齢の医師においてはこうした要因から導入を躊躇してしまうことも少なくないとみられています。

また、地方の病院やクリニックの場合、都市部と比べ、診察する患者の数は多くなく、場所的な余裕もあるため、紙カルテの保存スペースに困っていないケースも見受けられます。 さらに、病院によっては紙のデータを電子に移行する作業がネックになっていることもあります。

開業まもない医院や小規模なクリニック等ならまだしも、ひとつひとつ漏れがないようシステムに移すのは大変な労力がかかるでしょう。 そして、もっともな大きなネックとなっているのがセキュリティ面です。

情報のアクセスはしやすくなる一方、ハッキングや医療関係者による情報漏洩といったリスクがあります。このため、個人の秘匿性の高い情報を扱う観点から電子カルテの導入に慎重な病院も少なくありません。

 

電子カルテに関する市場調査を行ってみよう

このように、メリットもさることながらデメリットも多いのが電子カルテです。もし、電子カルテを導入したいと考えている病院であれば、すでに導入し成功している事例を参考にするのがお勧めです。また、電子カルテの業界に参入したいと考えている企業であれば、競合の状況やユーザーである病院のニーズを把握するのがお勧めです。

いずれにおいても必要な情報を収集するために市場調査を行ってみましょう。専門の調査会社に業務を依頼すると、より質の高い情報を収集することができ、それらの情報を参考に今後の戦略を立てることができるでしょう。

もし、電子カルテの導入や新規参入に悩まれている場合は、市場調査の実施を検討してみましょう。

 

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