排ガス処理などの環境関連におけるフィルターの概要を把握しよう
排ガス処理用フィルターとは
排ガス処理用フィルターは焼却炉等で発生する排ガスを浄化し、大気中に放出できるようにするものです。かつてはろ布を使用していましたが、現在はより高性能なハイブリッドバグフィルタ型のものが主流となっています。
ハイブリッドバグフィルタとはフィルターの繊維に触媒をコーティングしたものであり、従来のろ布では除去しきれなかったガス状のダイオキシンやNOx(窒素酸化物)等の分解が可能となりました。
近年、ごみ焼却炉などの排ガスに含まれる有害な物質に対する規制が強化されており、ダイオキシン類に関しては、0.1ng-TEQ/m3N以下に排出量を抑えなければなりませんが、ハイブリットバグフィルタを用いた場合、規制強化後の厳しい基準にも対応可能となっています。
ハイブリッドバグフィルタを利用するメリットは、前述したようにダイオキシンの低減が挙げられます。ろ布を用いたものの場合、ガス状ダイオキシンは別途、活性炭等に吸収させる必要がありました。
一方、ハイブリッドバグフィルタでは触媒の作用により、ダイオキシンを高レベルで分解・除去できるようになりました。加えてアンモニアガスを取り込み、NOxも除去できる点も大きなメリットです。
さらにハイブリッドバグフィルタの利用は二酸化炭素の排出削減にも繋がります。これまでダイオキシンを吸収するために使用されていた活性炭の製造過程で発生する二酸化炭素を削減できるほか、フィルターの脱硝機能で触媒脱硝用の排ガス加熱の工程も不要になるため、大幅な二酸化炭素排出量の削減につながります。
この他にも高い除去効果が得られるにも関わらず、薬品の使用量が少なく済むため、ランニングコストを低く維持できるなど様々なメリットを有しています。
環境関連のフィルター市場の今後の展望
バグフィルターなど環境関連のフィルターにおける市場規模は、今後さらに成長すると見込まれています。特に環境対策目的の需要が成長を後押しすると期待されています。なお、フィルターは様々な用途に利用されています。
■水関連:中国や新興国の急速な経済発展・工業化、世界レベルでの環境意識の高まりもあり、排水処理のフィルターの需要拡大に加え、水不足に対応した海水淡水化目的のフィルターや半導体の製造時に必要な高レベルの純水を使用するためのフィルターなど様々な分野での需要拡大が期待されています。
■大気関連:焼却炉向け等バクフィルター以外においては、クリーンルームでの需要が期待されています。一定の空気洗浄度が確保された部屋をクリーンルームと呼びますが、クリーンルームの需要増に伴い、クリーンルーム内の空気の浄化に貢献するケミカルフィルターの市場拡大が見込まれています。
一方、車載向けについてはカーエアコンフィルターの需要は堅調であるものの、ディーゼル車向けの需要は減退傾向となっています。
排ガスフィルターを中心に環境関連のフィルター市場は今後の成長が見込まれますが、環境対策改革の遅れなどを理由に、成長が抑制される可能性もあります。このため、今後の需要を見極めるのであれば、自社での市場調査の他、専門の調査会社を利用した市場調査の実施をお奨めします。
市場調査会社を活用し調査を行えば、競合企業のシェア率や今後の市場動向に関する詳細情報など、今後の戦略を立てる上で有益な情報が得られます。将来有望な環境関連のフィルター市場に参入するのであれば、市場調査会社の利用も積極的に検討しましょう。