FA装置の概要と市場動向を把握しよう
FA(ファクトリー・オートメーション)とは
FA(ファクトリー・オートメーション)装置は工場において生産や検査工程等を自動化するものです。なお、工場の自動化といえば産業用ロボットをイメージするかもしれませんが、ファクトリー・オートメーションとは単なる機械化ではなく、これまで人間でなければ難しかった工程の自動化も含まれます。
例えば音や匂いなど人間の主観的な評価によって品質管理を行っていた工程の自動化などが挙げられます。また、FA装置は機器単体に留まらず、受注・設計・製造・出荷にいたるまで、生産システムにおける一連の工程の自動化を表すケースもあります。
こうしたFA装置において重要な役割を果たしているのがセンサーです。従来のセンサーは精度が低く、人の作業の補助的役割にとどまっていました。
しかし、近年はセンサーの技術が向上し、装置の制御や品質チェックに関わる性能の進化により、FA装置は飛躍的に活躍の分野を広げています。
FA(ファクトリー・オートメーション)が目指すこと
FA装置の導入に伴い、生産現場にどのような恩恵がもたらされるのか解説します。
人件費の削減
企業が安定して利益を産み出すには、製造コストの多くを占める人件費をどう抑えるかが大切です。このため、製造業の多くの企業は、人件費がより安い海外に生産拠点を移すことによって、コスト削減に取り組んできました。
しかし、昨今は現地の人件費も急増し、海外に工場を持つメリットが小さくなっています。一方、FA化に取り組めば、国内においても人件費を削減することが可能であり、安定した収益の実現につなげられます。
高品質の実現
長年ものづくりに強みを持っていた日本ですが、近年はグローバル化により、新興国のものづくりが台頭してきています。競争に打ち勝つには、これまで以上に品質の高いものづくりが必要となりますが、日本においてはこれまで高品質なものづくりを支えてきた職人たちが定年を迎える一方、少子高齢化の影響もあり後継は十分に育っていない点が課題となっています。
こうした課題が深刻化した場合、品質の維持が困難となっていくかもしれません。このため、FA装置においては検査や作業制御によって人為的な品質のムラを軽減し、安定して質の高い製品づくりのサポートが期待されています。
製造業務の効率化
FA化は製造・組み立てなど製造工程全般の業務短縮に貢献します。
例えば、FA装置の画像処理センサーを活用すれば、一瞬で何十個もの製品の品質を確認でき、人の手で行うよりも大幅な時間短縮が可能となり、業務効率化を図ることができます。
FA装置業界の近況
2017年における国内大手のFA・制御機器事業は、国内・海外ともに順調に業績を拡大しました。特に海外において、成長著しい中国市場向けの業績が拡大しました。
しかし、2018年に突入すると米中の貿易摩擦の影響を受け、業績拡大を牽引していた中国市場に陰りが見えだし、各社の業績は伸び悩み始めました。2019年に入ると、FA装置の需要はさらに低迷しました。
このような状況ではありますが、FA装置は製造業務のスマート化・自動化に欠かせないものであり、需要は底堅く、将来的に市場は回復していくと見込まれています。 但し、FA装置業界への参入を考えている場合には、市場のポテンシャルやリスクを十分に吟味した上で決定した方がよいでしょう。
その際、役に立つのが市場調査やマーケットリサーチの実施です。マーケットの情報を把握しておけば、適切な判断が下せる可能性が高まります。プロの市場調査会社の活用を含め、市場調査やマーケットリサーチを十分に行った上で、新規参入を決定しましょう。