肥料の概要とその市場動向を把握しよう
肥料とは?
肥料とは、土壌に撒いて植物に生育を促進するものを指します。 植物は地中に張り巡らされた根を通じて、リン酸やカリウム、窒素などの養分を取り入れています。野山に生えている植物であれば、土壌の豊富な微生物が動物の死骸やフンを分解してくれるため、養分が不足しにくくなっています。
一方、都会の場合、土の中の養分は不足しており、肥料を活用し、人為的に養分を投下していく必要があります。
植物を生育していくためには16の元素が必要となりますが、中でも重要なのが窒素・リン酸・カリウムです。窒素は全体の成長に欠かせない栄養素で、窒素が足りなくなると花を咲かせたり、実をつかせたりする前に枯れてしまいます。
また、窒素含有量が充分であると葉の色が濃くなり、逆に不足すると幹の下の方にある葉の色が黄色っぽくなります。このように、葉の色で過不足の程度が分かるため別名「葉肥」とも呼ばれます。
リン酸は植物の組織形成に影響を及ぼし、リン酸が不足した場合、植え付け後の発根がうまくいかなくなってしまいます。なお、リン酸は花や実の成長に関係することから「花肥」や「実肥」と呼ばれます。
カリウムは根や茎の生育に作用するため「根肥」と呼ばれ、病気や害虫に負けない丈夫な根・茎に欠かせない元素です。
既述の3つは肥料における主要素として、パッケージにそれぞれの分量が記載されています。例えば「N-P-K=10−3−8」と書かれているなら、肥料100g中にN(窒素)が10g、P(リン酸)が3g、K(カリウム)が8gの含有量を意味しています。
肥料の種類
肥料の種類は大きく「有機肥料」と「化学肥料」の2つに分類されます。この内、有機肥料は動植物由来の有機物を原料としたもの、化学肥料は鉱物質などの無機物を原料にした肥料となっています。
有機肥料は微生物による分解が必要となるため、即効性は低いですが、その分持続性は高くなっています。一方、化学肥料は高い即効性を有していますが、持続性は低いという特徴があります。
したがって、元肥には有機肥料を、追肥には化学肥料を使うのが一般的です。また、有機肥料はいくつも種類があり、代表的なものを紹介します。
有機肥料の種類1. 魚粉
魚を煮て水や油を除去し、乾燥させてから粉砕したものです。土壌での分解が早いのが特徴であり、主に追肥に使用されます。
有機肥料の種類2. 骨粉
鶏や豚の骨を乾燥させて粉砕したものです。魚粉と異なり、土壌にゆっくりと浸透していくため、元肥によく使用されます。
有機肥料の種類3. 油粕
油粕は大豆や菜種から油を採った後に生じる搾りカスです。窒素・リン酸・カリウムの3大栄養素全てを含んでおり、中でも窒素が多く含まれています。
なお、油粕は土の表面に撒くとコバエが発生したり、施肥量が多すぎるとガスが発生して植物の生育を阻害するため、注意が必要です。
有機肥料の種類4. 鶏糞
ニワトリのフンを乾燥し発酵させた有機肥料です。栄養素をバランスよく含んでおり、価格も高くないため、利用しやすい肥料といえます。
有機物の種類5. 米ぬか
玄米の精製の際に出る粉を肥料として利用します。米ぬかは三大主要栄養素のほか、ビタミンやミネラル、糖分なども様々な栄養素を含んでいる他、脂質が多く分解に時間がかかるため、施肥の効果がゆっくりと現れるのが特徴です。
有機物の種類6. 草木灰
草木を燃やした後に出る灰も肥料として利用されます。カリウムが多く、リン酸や石灰も含有しており、酸性の土壌を中和する際には有効な肥料となっています。
肥料の市場動向について
肥料業界への参入を検討するなら、まずは市場動向の把握が必要です。参入状況ですが、主要大手メーカー8社が国内シェアの半分程度を占める他、各地域の特性に応じた肥料を提供する地元の中小企業群が、残りの半分のシェアを有しています。
また、国内全体の市場規模をみた場合、肥料消費量は減少傾向となっています。これは、農作物の作付面積の減少や、コスト削減の一環から施肥量を減少する動きが影響しています。そのため、関連事業者間の競争は今後激化すると予想されています。
こうした競争の激しい肥料業界を勝ち抜くためには、市場調査やマーケットリサーチを行い、ニーズや今後の市場動向の把握を怠っていけません。
今後の戦略を立てる際、情報を把握しておくと、有効な戦略を立てることができ、事業の維持・拡大を図ることができるからです。専門の市場調査会社の活用も含め、最新の市場動向の把握は怠らないようにしましょう。