5軸マシニングセンタとは? 特徴や加工の仕組みを解説!

5軸マシニングセンタは「複雑な部品の加工精度を上げたい」「加工時間を短縮し生産性を上げたい」といった課題を解決してくれる工作機械であり、従来のマシニングセンタで行うことができる3軸加工に加えて、回転と傾斜が加わることで、より幅広い加工に対応できます。
本記事では5軸マシニングセンタの特徴や仕組み、使用する際の注意点などを解説します。

 

5軸マシニングセンタとは?

 

5軸マシニングセンタとは、一般的なマシニングセンタの直線軸(X・Y・Z)3軸に、回転軸を2つ加えた装置です。これにより、より柔軟かつ効率的に切削加工することが可能となっています。
また、当該装置含む複雑な加工も正確に行えるマシニングセンタは、日本工作機械工業会の統計によれば工作機械生産高の約4割も占めており、数ある工作機械の中でも需要の高いものの1つとなっています。

 

5軸マシニングセンタの特徴

 

5軸マシニングセンタは、3次元曲面や立体形状など複雑な加工に適しています。アンダーカットと呼ばれる工具の届きにくい部分の加工も得意としており、より複雑な加工を施せるのが強みです。
また、5軸マシニングセンタは歯車やプロペラ、インペラ、自動車バンパーなどの加工に用いられます。そして加工された部材は航空宇宙産業や宇宙産業、医療機器産業など、より高い精度を求められる業界で活用されています。

 

一般的なマシニングセンタ(3軸)との違い

 

一般的な3軸のマシニングセンタは、X・Y・Zの直線軸のみ制御するのに対して、5軸は回転・傾斜の2軸が追加されているのが大きな違いです。
これにより、3軸では難しかった立体的な部品や3次元曲面のような複雑な加工も施せるようになり、より付加価値の高い製品を作り出せます。
また3軸では、縦・横・高さしか工具を動かせないのに対して、5軸は回転・傾斜が加わっているため、斜めに切削できるのも違いです。

5軸加工の種類

5軸加工には、同時5軸加工・割り出し5軸加工の大きく2種類があります。それぞれどのような加工方法なのか、特徴を解説します。

 

同時5軸加工

 

同時5軸加工は、直線軸X・Y・Zと回転・傾斜軸2つの全てを同時に制御して切削する加工方法です。5軸全てを動かすため、3次元曲面加工やアンダーカットの加工など、より複雑な加工を施せます。主軸やテーブルの角度を変えながら、部品の干渉を防ぐことで複雑な加工を実現します。
ただし動きが複雑になるため、より高性能な制御装置が必要です。

 

割り出し5軸加工

 

回転軸と傾斜軸の角度・位置を固定してから、直線3軸で切削する加工方法です。一般的なマシニングセンタでは難しい加工も、あらかじめ角度を調整できることで簡単に加工できます。

この方法の場合、1回の段取りで多面加工できることや、各軸のズレを調整しやすく扱いやすいのが特徴です。ただし同時5軸加工に比べると簡易的なため、複雑な加工はできません。

 

5軸マシニングセンタの魅力

 

5軸マシニングセンタは、通常のマシニングセンタにはできない複雑な加工も精密に行えるため、装置の導入により多くの恩恵が期待できます。どのような加工が実現するのか5軸マシニングセンタの魅力を解説します。

 

多面加工がしやすい

 

5軸マシニングセンタは、一度の固定で複数面の加工が可能です。
従来の3軸マシニングセンタでは、加工面ごとに再固定が必要で、位置誤差が生じやすいのが課題でした。5軸マシニングセンタは材料・工具を自由に傾斜・回転させられるため、段取り替えを最小限に省き精度を保ちます。
またセッティングにかかる作業時間も省けるので、加工時間の短縮につながり、生産性が高まるのも魅力です。

 

短めの突き出し工具でも加工できる

 

5軸マシニングセンタは、材料を傾斜・回転させられるため、短い突き出し工具でも深い切削加工を施せます。
従来の3軸マシニングセンタでは、主軸やツールホルダーの干渉回避のため長い突き出しが必要でした。工具が長くなると、たわみが発生しやすくなり、工具の耐久性低下や変形による加工精度が低下するリスクがあります。
5軸マシニングセンタであれば、短い工具でも深い切削を施せるため、加工精度を保ちながら工具の寿命を延長でき、部品コスト低減にもつながるでしょう。

 

ボールエンドミル加工ができる

 

材料の向きや角度の制御を複雑にできる5軸マシニングセンタは、ボールエンドミルを接触させる角度を自在に変更でき、加工精度の向上が期待できます。ボールエンドミルとは、先端が半球状になった工具で、切れ味が良く3次元曲面や複雑な部品の仕上げに適しており、仕上げ面を美しく整えることが可能です。
このようなことから5軸マシニングセンタではポールエンドミルを用い、複雑に傾斜・回転させ、切りクズ跡を防ぎ滑らかに仕上げることが可能です。

5軸マシニングセンタを使用する際の注意点

5軸マシニングセンタは高精度な加工を施せる点が魅力ですが、以下のようなデメリットにも注意が必要です。

 

● 重量物の加工精度が低い:回転式のテーブルに材料をセットするため、重量物を回転させるとブレが大きくなりやすく、加工精度が低下するリスクがある

● 制御が難しい:制御軸が多いことから、寸法調整が複雑で難しい。また、軸数が増えるほど制御プログラムは複雑になるため、適切に操作して質の良い加工を施すには技術が必要になる

● 加工方法の選択が難しい:加工方法の自由度が高い反面、加工する材料・形状に最適な加工方法を見つけるのが難しい

 

まとめ

 

5軸マシニングセンタは、直線3軸(X・Y・Z)に、2つの回転軸を加えた工作機械です。3軸では困難な3次元曲面や複雑な形状の加工に優れており、より付加価値の高い製品を製造できます。

また、高精度な加工だけでなく、セッティングも簡単に済むことから加工にかかる時間が短縮され、生産性向上にも貢献します。

 

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