HMIの概要と市場動向を把握しよう
HMIとは?
HMIとはヒューマン・マシン・インターフェースを略した言葉で、人間と機械が情報をやり取りし意思疎通をはかる手段や、そのための装置・ソフトウェアなどの総称です。
身近な例を挙げるとカメラのピントを合わせる際、フォーカスリングを手動で動かすのはHMIの一種だと言えます。別の被写体にピントを合わせる際は再度フォーカスリングを動かすことになりますが、この繰り返しの過程は人間と機械の対話とも捉えられるでしょう。他にもボタンやスイッチ、ペダルなど人間の意思を機械・装置に伝達できるデバイスもHMIの一種です。
近年は技術の進展に伴い、大量のデータ通信を可能とするHMIデバイスが登場しています。例えば、音声認識機能を搭載した機器やヘッドアップディスプレイ、AR/VR装置等が挙げられ、出力方法も以前より多様化してきました。
技術の進歩によりHMI製品も進化を遂げ、人間が思い描いたように機械・装置を活用し、より便利な世界を実現できる時代がすぐそこまできています。
HMI市場の発展
世界のHMI市場は年々成長しています。これは製造業分野におけるオートメーション化の進展に伴い、より高性能なHMI機能を搭載した製造装置等の販売増が主要因です。これらの装置は製造コスト削減に直結するため、積極的に導入を検討するところは多い状況です。
HMI市場の中でも今後大きな発展を期待されているのが、車載HMI市場です。自動走行車の実用化が現実味を帯びてきた今、HMIは人と次世代カーをつなぐ架け橋としても期待されています。例えば、車載HMIの分野ではヘッドアップディスプレイの開発が進んでいます。ヘッドアップディスプレイは、スピード等様々な情報を走行中、フロントガラス等に表示できるものです。
現状では走行中に速度を確認するためには、一度前方から視線を外してメーターを確認しなければならず、視線を外した際に事故の確率が上がってしまいます。
一方、ヘッドアップディスプレイが普及すれば、運転中視線を外す可能性が少なくなるため、安全性の向上が期待されています。また、運転時においては、走行中のオーディオやナビの操作なども事故の危険性があり問題です。
こうした問題の解決策として注目されているのが、触覚フィードバック機能です。 触覚フィードバックはオーディオやナビ等のディスプレイ操作において、物理的な操作感をもたらすことにより、操作の確認するためにディスプレイを目視する時間を減らすことを目的としており、今後の普及が期待されています。
今後のHMIの動向
HMI技術は日々進化しており、音声認識機能など人間同士に近いコミュニケーションも取れるようになってきています。
さらにこれからは「機械の人間化」がさらに進み、人間の感情や感覚を理解できるようになると期待されています。例えば人間の感覚を機械に伝え、人間が精緻な感覚を持って行う作業を機械に代行させるための開発が行われており、人間が卵を掴む感覚を機械に伝え、ロボットがその感覚を学習し、卵を割らずに作業をするといったことを実現できるように取り組んでいます。
また人間の脳の信号を直接収集し、機械との対話を実現するブレイン・マシン・インターフェースと呼ばれる技術開発も行われています。人間が思考をしている時の脳波を取り出し信号処理し、機械が人間の考えている内容を把握しようとするものですが、脳の動きを細かく把握するのは難しく、こうした技術が実用化するにはまだ時間を要するとみられています。
このようにHMIの技術は進化を続けており、大きな可能性を秘めているのは間違いありません。 また、HMI技術に関連する製品・サービスの需要は拡大傾向が続いており、新規参入を検討するには良いタイミングと言えるでしょう。但し、HMI市場へ参入を検討する際には市場調査を事前に行った方が良いでしょう。
市場調査を実施し、現状のマーケットの状況や見込みなどを事前に把握しておくことにより、本当に参入するべきなのか適切な判断が下せるようになります。なお、市場調査を依頼する際は市場調査会社の利用がおすすめです。自社でリサーチを行うよりも多くの情報を収集でき、精度の高い市場調査を行えます。是非、積極的に活用しましょう。