【レアメタル・レアアース】インジウムの概要と市場動向を把握しよう
レアメタルのインジウムとは
金属類は大きく以下の3つに分類されます。
▪ ベースメタル
▪ 貴金属
▪ レアメタル
ベースメタルは社会で大量に使用されており、かつ生産量が多いものです。具体的には鉄や銅、亜鉛、鉛、アルミニウムなどが挙げられます。
貴金属は希少性の高さや耐腐食に優れている点が特徴であり、具体的には金や銀、白金(プラチナ)、バラジウムなどの8元素が挙げられます。
レアメタルは埋蔵量が少ない、または技術的・経済的な理由で抽出が難しい希少な非鉄金属のことを指します。具体的にはチタンやコバルト、ニッケルなどが挙げられ、主に電子材料や磁性材料として使用されています。
インジウムはレアメタルの1つです。インジウムは1863年にドイツ人のフェルディナント・ライヒがタリウムの検出のために行っていた亜鉛鉱石の分析中に発見されました。現在は主に液晶パネルの透明導電膜(電極)に使用されており、低融点であることや柔軟性を有している点が特徴となっています。インジウムは希少性が高く、地球上に存在する量はプラチナの10分の1程度といわれています。
現在は中国の産出量が多くなっていますが、かつては日本の札幌市にあった豊羽鉱山でも、高濃度のインジウムが含まれた鉱石が豊富に産出されていました。この豊羽鉱山は2006年3月末に閉山されており、現在は国内でインジウムを産出することはできなくなっています。このため、液晶ディスプレイなどに使用されるITOターゲットからインジウムを回収して再利用するといった取り組みが浸透しています。
インジウム市場関連の動向
インジウムの用途においてそのほとんどを占めるのが透明導電膜(透明電極)です。透明導電膜はタッチパネルや液晶ディスプレイ、太陽光電池における重要な部材の1つです。
この中でも太陽光電池においては電機メーカーのシャープが、2022年6月に世界最高効率の製品の開発に成功したと発表しました。開発中の製品においては一般的な太陽光電池の構造と異なり、ガラス板の代わりに薄いフィルムを採用し、軽量で湾曲も可能という特徴的な太陽光電池モジュールを実現しました。また、本製品の太陽光電池セルでは、インジウム、ガリウム、ヒ素などの物質を組み合わせた化合物の層を形成しています。各層で異なる波長の光を吸収できるため、発電効率が大きく向上しています。実際、太陽光エネルギーを電力に変換する効率は32.65%と、複数のセルを組み合わせた太陽光電池として世界最高を記録しています。太陽光電池は昨今の脱炭素社会の実現に向け、今後も大きな需要が見込まれており、部材の1つであるインジウムの需要も引き続き拡大すると見込まれています。
今後の展望について
インジウム市場は液晶ディスプレイ(TVやスマートフォンなど)の需要拡大、薄膜太陽光電池の普及などにより、引き続き拡大傾向が続くと予想されています。但し、液晶ディスプレイにおいてはアジア太平洋地域(主に中国やインド)の需要が鍵を握っており、コロナ禍からの回復動向によっては、需要が予想を下回る懸念があります。
このように市場動向を常に把握していなければ、適切な戦略を立てることができず、業績を拡大させることはできません。このため、市場調査・マーケティングリサーチを実施し、マーケットの状況把握に努めましょう。市場調査・マーケティングリサーチの実施においては調査会社を活用しながら積極的に行うことをおすすめします。参入を検討するに値する有益な情報が収集でき、ビジネスの方向性も決定しやすいでしょう。