情報セキュリティ業界の市場状況
情報セキュリティの重要性
警察庁によると、2019年上半期の日本のサイバー攻撃検知数は、1日1IPアドレスあたり約3,531件で、増加傾向が続いています。また、サイバー攻撃によるクレジットカードなどの金融情報の流出に伴う被害は、国内において1兆円に達するという予測もあり、問題は年々深刻化しています。
日本では今後、オリンピック、パラリンピックや大阪万博などの国際イベントが予定されており、イベントに合わせて社会の混乱を狙ったサイバー攻撃が増えるという懸念があります。また、IoT時代を迎え、金融や医療、家電、自動車、公共サービスなど様々な分野がITによって個人情報と連携していくと予想されます。もし、サイバー攻撃が起きれば、従来よりも広範な社会インフラに影響を与えるようになるため、情報セキュリティの重要性は増すばかりです。
サイバー攻撃において懸念されているのが、対策を怠っている中小企業です。ウェブサイトへの攻撃は自動化され、脆弱なサイトは企業規模に関係なく狙われており、予算の関係などで対策を後回しにしている中小企業は恰好の餌食となっているのです。さらに、社員が情報セキュリティに対して知識がなく、誤った対応によって取引先にウィルスを広め、ビジネス上の信頼を大きく損なってしまうかもしれません。
このように情報セキュリティの重要性は年々高まっており、情報セキュリティ業界におけるビジネスチャンスは拡大しているといえるでしょう。
情報セキュリティのサービス
情報セキュリティに関するサービスとしては、ソフトウェア製品とアプライアンス製品を合わせたセキュリティ製品、セキュリティに関するコンサルティングやシステム構築、教育やトレーニングサービスなどが挙げられます。 情報セキュリティに関する市場傾向としては、フィッシング攻撃やビジネスメール詐欺の増加により、特にセキュリティソフトウェア関連の市場が拡大しています。
具体的には、ウィルスや不正プログラム対策のソフトウェアやURLのフィルタリング、データの紛失や漏えいを防ぐDLP製品の導入が進んでいます。さらに、ランサムウェア攻撃やファイルレスマルウェア攻撃といった、サイバー攻撃や不正アクセスの増加で、不正侵入検知のIDSと不正侵入防御のIPSなどのシステムへの需要も高まっています。
さらに、こうしたシステムを統合管理する管理系機器、ユーザー管理のための生体認証デバイス、システムも今後の需要拡大が見込まれています。
情報セキュリティ市場の今後
2020年にかけては、国際的なイベントなどを狙ったサイバー攻撃の増加が懸念され、社会インフラをサイバー攻撃から守るためのセキュリティ対策の需要が伸びると予測されます。さらに、日本はもちろん世界的にデータ保護規則も強化される見通しで、プライバシー保護の観点からも外部からの攻撃に備えることが求められます。
また、社員による情報漏えいなどの脅威に向けた対策も必要です。 今後はクラウドサービスの活用が広がりを見せており、SaaS型セキュリティソフトウェアの需要がより高まると予想されます。さらに、非シグネチャ型マルウェア検出技術やAIと相互連携可能なUTMやIDS、IPSの需要が高まると同時に、DDoS攻撃を防止するIDS、IPSなどもニーズが拡大すると見られています。
また、法規制の面でも、2018年6月に施行された改正割賦販売法で、通販業者などにクレジットカードの情報流出を防止する対策が義務化されました。今後もこうした情報管理に規制は今後検討されていくと予想されています。 情報セキュリティの世界は技術革新も早く、サイバー攻撃も高度化しています。
どのような製品やサービスが求められるのか、市場調査会社を活用し、最新の情報をキャッチアップしていきましょう。