液晶ディスプレイの概要と市場動向を把握しよう

液晶ディスプレイとは

液晶ディスプレイは、液晶の性質を利用した画像表示装置です。ブラウン管を用いるCRTディスプレイと比較した場合、薄型・小型・軽量という特徴を有しています。液晶ディスプレイは2枚のガラス板の間に、液晶上の物質を挟み込んだ構造です。電圧をかけ液晶の分子の方向を変えることで、光の量を調節します。液晶自体は発光しないため、蛍光灯やLEDといったバックライトとし、その光を遮ったり通したりすることで像を映し出す仕組みとなっています。

液晶ディスプレイは回路の構造によって、単純マトリクス方式とアクティブマトリクス方式の2つに分かれます。現在はアクティブマトリクス方式の製品が大半を占め、特にその中でも「TFT方式」が広く普及しています。

TFTとは薄膜トランジスタの略称です。TFT方式の液晶ディスプレイは、TFT及び透明な画素電極を施したガラス基板と、対抗電極とカラーフィルターでできたガラス基板の間に液晶上の物質を挟んだ構造です。偏光板が2枚ある構成となっているため、光の量をきめ細かく調節できます。こうしたことから微細な変化を捉え細やかな配色を可能となっています。

液晶ディスプレイ市場の動向

コロナ禍に伴うテレワークの普及や外出自粛等が影響し、パソコンやタブレットといった電子機器の販売が好調であり、それらの機器に搭載される液晶ディスプレイも大きく市場を伸ばしました。

国別の市場シェアに着目すると、中国メーカーの躍進が目覚ましい状況です。これまで大きなシェアを有していた韓国メーカーが市場から撤退し始めており、中国が大きく市場シェアを伸ばしています。但し、中国においても新型コロナウイルスの影響を受け、パネルの需要低下や生産ライン立ち上げの遅れなどが発生したこともあり、そうした点は中国メーカーにおける懸念点です。

今後の展望について

コロナ禍の影響が減退しつつあり、足元の液晶ディスプレイは減退に向かっており、今後需要は懸念されます。さらに液晶に変わる新たな技術の台頭も懸念されています。例えばOLED(有機EL)はさまざまな色調を表現でき、鮮やかな画質を実現できる素材です。また、曲げる、折りたたむといったことも可能であり、液晶ディスプレイと比べて採用アプリケーションの幅が大きくなると期待されています。スマートフォン関連ではすでにOLED製品が普及しており、今後はタブレットやモニターなど大画面デバイスでも採用が進む見込みです。一方、液晶ディスプレイにおいてはOLEDと比べて価格面や輝度の強さ等の強みもあるため、用途においてOLEDとの棲み分けが進むと思われます。

また、次世代ディスプレイとして「QD OLED」や「マイクロLED」、「マイクロOLED」の開発が進められています。特に「マイクロOLED」は1インチ当たり1,000画素を超える高画像度を実現し、VR/AR(仮想現実・拡張現実)向けでの採用が期待されており、今後の動向が注目されています。

このようにディスプレイ市場は刻々と変化しており、絶えず動向を把握しておく必要があります。自社で市場調査を行い、情報収集を行うのも良いですが、外部の専門調査会社を活用すると、より多くの情報を収集できる可能性が広まります。積極的な活用をお勧めします。

 

 

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