船舶用ポンプの概要と市場動向を把握しよう

船舶用ポンプとは

船舶用ポンプは、動力や駆動タイプによって様々な種類があります。船舶用に使用される主なポンプの種類・特徴は以下の通りです。

■エンジンポンプ

エンジンポンプはガソリン等を燃料源に、水を吸い上げ排出する機能を持つポンプです。優れた吐き出し能力を備えながら小型・軽量で扱いやすい製品もラインナップしており、持ち運びに便利なハンディータイプもあります。また、接液部分はステンレスや新素材を採用し、さびや海水に強い仕様となっています。

■水中ポンプ

ポンプ本体内にモーターを有し、電源を押すだけで排水や給水が容易にできる製品が水中ポンプです。ポンプ内に真空状態を作り出し、気圧の変化を利用して水の給排が可能です。水中ポンプにおいては流入口、排水口のほか流入量をコントロールする出力部位、コンセント部位の4つから構成されます。 水中ポンプは排出方法や形状等に応じて、容積式・ターボ型・特殊型に細分化されます。容積式ポンプは吸い込んだ水をそのまま排出するタイプを指し、ターボ型は内部で羽根車を回転させることで中の液体を動かすポンプです。また特殊型はジェット噴射の力を利用するタイプであり、気泡や過流を使うものなど様々な種類があります。 水中ポンプにおいては高付加価値化が進み、溶接部には完全防錆加工が施し、自動損傷防止機能、漏電感知コンセントなども備えています。また、海水を汚染しない環境配慮型の給排水技術も年々向上しています。

■ギヤポンプ

歯車の力を活用し、液体の吸入・排出を行う機器がギヤポンプです。歯車がかみ合う際に生じる圧力を利用してポンプが動きます。歯車の回転速度を上げれば海水の量を調節できるため、定量的に給排水できる点がメリットです。 高粘度の液体にも対応でき、海水以外の塗料や樹脂などにも対応可能です。

船舶用ポンプ市場の最近の動向

船舶用ポンプ市場は船舶の需要量に左右されます。船舶の生産量は世界各国の新規造船ニーズによる部分が大きく、近年船舶の輸出量も増加傾向です。このため、船舶用ポンプ市場の需要量も増加傾向にあります。オンラインショッピングの普及やサプライチェーンのグローバル化の進展に伴い、船舶での輸送需要は高まっており、船舶や船舶に使用されるポンプの需要も高まると期待されています。

今後の展望や懸念点について

■船舶市場の動向に大きく左右される

船舶市場は世界経済の動向に大きく左右されます。リーマンショック時においては船舶の過剰が問題視されました。現状の足元においては船舶の需要は好調ですが、今後の世界経済の動向次第ではいつ、需要が減退するかわかりません。また、船舶における国際競争環境は激化しており、国内メーカーは中国や韓国、欧州メーカーとの供給力や技術力において激しい鍔迫り合いを行っています。こうした状況はポンプの市場動向にも影響を与えるため、その動向は注視する必要があるでしょう。

■環境変化への対応

船舶用ポンプにおいても温室効果ガスの削減等の環境問題、IoTや省力化・自動運転等への対応が必要になっています。特に環境問題への対応は今後の需要を大きく左右する問題であり、もっとも取り組まなければならないでしょう。そうした課題に対処していくには共同開発の推進・機器仕様の標準化等の施策が今後必要となっていくでしょう。こうした取り組みが実を結べば低コスト化に繋がり、需要の拡大に繋がるでしょう。 こうした市場動向の動きをいち早く察知し、対応していくためには自社の情報収集だけでは限界があります。もし、市場調査会社を活用すれば自社では得られないより有益な情報を収集できます。業界動向をいち早く把握する際には、市場調査会社の活用も積極的に検討しましょう。

 

 

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