市場調査を行い、プラスチック素材(PC、PAなど)の動向を把握しよう
幅広く利用されているプラスチック素材
プラスチックには多くの種類があり、ペットボトルをはじめ、さまざまな用途に利用されています。プラスチックは耐久性に富み、腐食に強く、再利用が可能といった特性を持つ高分子物質の素材であり、今後もより便利で環境にも優しい製品が開発されていくことが予想されます。
プラスチックの中には工業用に適した特殊プラスチック群を、エンジニアリングプラスチック(エンプラ)と呼び、PCやPAもこの仲間です。PCはポリカーボネートを指し、熱と衝撃に強く、カメラレンズなどに使われています。PAはポリアミドを指し、耐磨耗性に優れ、かつ軽量素材であるため、自動車部品などに使われています。
この他にもプラスチック素材には様々なものがあり、耐熱性や耐酸性などそれぞれの素材が持つ特性と利用する用途を比較検討した上で採用されています。
なお、プラスチック素材(PC、PAなど)業界は、3層構造となっています。まず、石油精製でつくられるナフサを原料に多様なプラスチックを作り出す素材メーカーがいます。
次にこの素材をもとに、発注内容に応じて成型加工する1次加工メーカー、そして、この成型加工部品を用い、組み立てや塗装、印刷などを行う2次加工メーカーです。基本的には素材メーカー~2次加工メーカーを経て、自動車業界や電子部品業界等の需要家に供給される構図となっています。
需要先である自動車や精密機器等の進化はめまぐるしいものがあり、プラスチックに求められる要求内容・レベルも変化しています。このため、関連企業はより高機能なプラスチック素材の開発や、高い成型技術の開発などで差別化を図っています。
進化を続けるプラスチック素材
ビリヤードのボール素材だった象牙の代用として世界初の高分子プラスチックであるセルロイドが使われたように、草創期のプラスチック素材は天然素材の代替品という位置づけでした。しかし、利用性の高いプラスチック素材が次々に開発されたことにより、その用途は飛躍的に拡大しました。
さらに耐熱性を高めたスーパーエンジニアリングプラスチックと呼ばれるものも開発され、あらゆる産業にとってプラスチックは不可欠の存在となっています。
今後、プラスチック素材(PC、PAなど)の利用がさらに拡大すると期待されているのが、自動車産業です。地球環境保全への寄与が求められる自動車産業では排気ガスを抑え、燃費性能を向上させることが重要視されています。エンジンの改良、ガソリンエンジンから電気モーターへの切り替えもありますが、各部材の軽量化も重要な課題です。
そのため、近年では、軽量で強度も強いエンプラ部品に置き換えを図る動きが増えています。
現在も顧客のニーズに応じて素材の開発が活発に行われており、新製品の開発を行う場合には最新の動向把握が必要となるでしょう。特に新規参入を行う場合には、参入プレーヤーの把握と各プレーヤーの動向に関する市場調査を行い、最新の情報を把握することが必要となるでしょう。
もし、他社が及ばない独自の高い技術力を持っている小規模企業があればM&Aを検討するのも良いでしょう。
プラスチック素材の市場調査は専門会社へ委託
プラスチック素材における新規参入や今後の投資を検討する場合、業界動向の把握が必要になります。価格面においては海外製品や原料である石油価格に関する状況把握が必要となるでしょう。
販売面においては各用途の動向把握も必要です。需要の多いフィルムシート向けにおいては、利用する素材に影響を与える安全性や環境規制等に関する動向の把握も欠かせません。
今後成長が期待される精密電子機器向けについては、中国や東南アジアでの生産が増えており、こうしたトレンドの状況把握も必要です。また、世界のエンプラ市場の規模は、増大傾向が続いています。これまでは日本や欧米諸国が需要の中心でしたが、今後は経済発展が著しいインドやブラジルなど、新興国向けのエンプラ需要が伸びると予想されています。
また、国内市場においてもエンプラの需要は増加傾向にあります。こうした市場全体の需要動向の把握も新規参入や今後の投資においては欠かせません。これらの情報を全て自社で把握するには、大きな手間が掛かってしまう上、精度の高い情報が得られるとも限りません。
市場調査を専門に行っている企業であれば、需要や各用途の動向・トレンド等の情報を包括的に把握することが可能です。市場調査会社を活用し、プラスチック素材に関する最新動向の把握に努めましょう。