MEMSとは?具体的な活用事例や今後の成長性
MEMS(メムス)とは
MEMSは「Micro Electro Mechanical Systems」の略語で、微小な電子機械システムという意味を持ち、全長が数mm単位、使用する部品のサイズがμmクラスの非常に小さなデバイスです。
構造はシリコン基板やガラス基板、有機材料などに、センサーやアクチュエータ・電子回路などを搭載したものとなっており、電気信号・エネルギー・機械変位・物理量・光信号・化学量等、多種多様な要素の出入力が可能となっています。 また、MEMSは小型・高性能といった特徴を有しているため、幅広い製品に使用されており、特に携帯機器や複雑な機械の内部利用に適しています。
現在、MEMSは各用途の小型化に欠かせないものとなっており、日本の次世代のものづくり産業を担う基幹技術の一つと捉えられており、市場規模が年々拡大している注目部材となっています。
MEMSの主な活用事例
MEMSはプリンターヘッドや車のエアバッグ、スマホやゲーム機、プロジェクターなどの部品に使用されています。ではMEMSがどのような部品に使用されているかみていきましょう。
加速度センサー
車のエアバッグやスマホの落下検知などに用いられているのが加速度センサーです。おもりを梁などで支える内部構造を持ち、デバイスに生じた加速度によって、おもりの支持構造に変化をもたらし、その変化を検出します。
エアバッグにおいては、この加速度センサーが一定以上の衝撃を検知することにより作動します。
圧力センサー
圧力センサーは、受圧部のシリコンダイアグラムに生じた力を電気信号に変換し圧力を計測するものであり、血圧計・気圧計・ガス圧計など圧力を測定する用途では欠かせない部品です。
なお、検出様式によって、ピエゾ式静電容量式・振動式などに分かれます。
DMD
DMD(デジタルミラーデバイス)はアメリカで製品化された、ディスプレイ用の部材です。対象物を投射するために多数の小さなミラーで構成されており、それぞれのミラーは10マイクロメートル程度と極小です。
また、ミラーに反射する光量によってディスプレイの明るさを調節し、ミラー部分の下に位置する半導体素子の静電引力により、ミラーの傾きを調節する仕組みとなっており、高繊細な画質を実現させています。
弾性波フィルター
弾性波フィルターは、必要な周波数の電波だけを切り取って取り出す機能を有しており、スマホの基幹部品「RFフロントエンドモジュール」の基盤として利用されています。
なお、弾性波フィルターはBAW(BulkAcousticWave)フィルターとも呼ばれることもあります。
ジャイロスコープ
ジャイロスコープは、回転速度を測定することで車体の向きの把握を可能としています。用途としては、カーナビで車の進路変更の際や、カーブを曲がる際の車体の乱れを防ぐ車体安定システムなどに用いられています。
光スイッチ
光スイッチは、光通信網の中継地点において、受け取った光信号を電気信号に変換することなく、そのまま切り替えを可能にするものです。従来の変換方式と比べ、低コスト化やコンパクト化できる点がメリットです。
なお、光信号の規模により、2次元式と3次元式に分かれます。
自動運転の実現にはMEMSが必須
自動車においては現在でも至るところにMEMSが使われていますが、今後、普及が期待されている自動運転においてもMEMSは必要不可欠な存在です。
例えば3次元レーザーレーダー「LiDAR」は、レーザー光を物体に照射し、反射光を測定することで、物体までの距離を計測する装置であり、自動運転には欠かせません。
LiDARにおいては、上記で紹介した「マイクロミラーデバイス」を用いたものの開発が進行中です。 加えて、人物を認識して、顔など部分的な照射を避けることができる「スキャニングレーザーヘッドライト」にもマイクロミラーデバイスが利用されており、将来的には、マイクロミラーデバイスを用いて、ドライバーの意思を文字や図形にして伝えることも可能になると見込まれています。
このように、自動運転の実現においてもMEMSの利用は必須であり、今後、自動運転技術を搭載した車両の増加に伴い、MEMS製品の需要はさらに伸びていくことが期待されています。 このようにMEMS市場の将来は明るいといえますが、もし参入を検討する場合には市場規模や競合や用途別の状況などの情報収集し、十分に吟味した方が良いでしょう。 情報収集にあたっては市場調査会社の活用をお勧めします。プロの手によって得られる有益な情報は市場参入にあたって大いに役立つでしょう。
MEMS市場の動向を把握し、事業の拡大に繋げましょう。