MF膜の概要と市場動向を把握しよう

MF膜とは

MF膜(精密ろ過膜)は、膜分離活性汚泥法(MBR:メンブレンバイオリアクター)等に用いられています。具体的には工業排水処理や下水処理などの他に、家庭用浄水器や災害用の浄水器の逆浸透膜脱塩装置の保安フィルターなど、さまざまな用途で利用されています。

従来処理方法である標準活性汚泥法では、曝気槽や沈殿槽、処理水槽が必要でしたが、活性汚泥の固液分離が不十分であるため、沈殿槽の処理水に濁質が混入することがありました。しかし、膜分離活性汚泥法では、曝気槽の中に孔径0.1~0.4μmのMF膜を設置して固液分離を行い、MF膜に付着した汚泥を曝気の上昇気流と泡で剥がして分離します。膜分離活性汚泥法では標準活性汚泥法のように多くの槽を必要としません。標準活性汚泥法では水量が増えると曝気槽と沈殿槽を増やさなければなりませんでしたが、MF膜等が用いられる膜分離活性汚泥法では、槽の中の膜ユニットを増やすだけで対応できるため省スペースで設置でき、しかも処理水に汚泥が流出することがないので水質も良好です。その他にも、監視が必要なポイントはろ過圧力と汚泥濃度のみとシンプルであるため、運転管理が容易であるといったメリットがあり、普及が期待されています。

MF膜の市場動向

MF膜など排水処理や水資源保全に関わる各種膜処理に用いられるろ過膜は、アジアや中近東、南米など世界各地で需要が増えています。特にMF膜が活用される膜分離活性汚泥法は日本人が世界で初めて実用化した技術であり、開発者の山本和夫氏は2020年に日本人研究者で初めて、世界の水問題解決に貢献した個人または組織に授与されるリー・クアンユー水賞を受賞するなど高い評価をされています。また、こうした膜分離活性汚泥法に関してはクボタが世界的にも高シェアを有しており、実績拡大に向けて取り組んでいます。

また、東レにおいてはインド・チェンナイにあるインド工科大学マドラス校内の研究開発施設内に、同社の水処理技術を応用した研究・技術開発を行うための水処理研究拠点を開設しました。同施設においては家庭から排出された下水を再利用する水処理膜システムの実証実験が行われるほか、MF膜を活用した膜分離活性汚泥法等のシステム提案も検討されています。

さらに三菱ケミカルグループは2022年にメキシコ最大の製油所における同国最大規模の膜分離活性汚泥法設備を受注し、加えてペルーの下水処理向けの案件も受注しています。

このように、MF膜を活用した膜分離活性汚泥法の普及は世界中に進んでおり、国内メーカーの実績は拡大しています。

今後の展望について

様々な用途において水の需要は旺盛であり、水処理ソリューションの需要は今後拡大していくと見込まれています。このため、都市排水や工業排水などの水処理に用いられる膜分離活性汚泥法市場も拡大していくことが見込まれています。アジアや南米などの新興国での排水浄化・水資源保全を目的に施設の新設需要の拡大、加えて下水処理場での設備更新の需要も見込まれており、少なくとも2027年にかけて大きな成長が見込まれています。

また、強靱な中空糸膜を採用した軽量コンパクトかつエネルギー効率が高い浸漬型膜分離活性汚泥法の普及も、市場の成長に寄与する見込みです。

このように膜分離活性汚泥法等に利用されるMF膜は、今後も市場拡大が期待できる有望な製品です。一方、参入プレイヤー間における競争も激化しつつあり、今後の事業拡大、または市場参入を検討している企業は入念な市場調査の実施が欠かせません。

業績拡大や新規市場開拓などに悩まれているのであれば、まず専門の市場調査会社を活用し、市場調査やマーケティングリサーチを積極的に実施することをおすすめします。

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