NF膜の概要と市場動向を把握しよう
NF膜とは
NF膜とは「ナノろ過膜」、または「ルーズRO」と呼ばれるろ過膜の一種です。NF膜はRO膜(逆浸透膜)とUF膜(限外ろ過膜)の中間にあたる性質を持ち、イオンレベルの微細な物質の分離・除去に用いられています。
RO膜と同様、ろ過膜として活用されていますが、RO膜がすべてのイオンの除去を目的としているのに対し、NF膜は1価イオンを透過しやすい特徴があり、2価イオンの除去を目的としている点が、NF膜とRO膜との違いです。
また、NF膜は色素成分や硬度成分等の除去に対応し、数百個単位の分子量の物質であればほぼ完全に分離することも可能です。
こうした特性からNF膜は軟水化のための脱塩や硬度処理、排水処理や海水淡水化前のスケール成分除去、原料用水の製造などに使用されているほか、合成化学物質や臭気物質などを除去する浄水高度処理用途にも利用されています。
NF膜(各種膜処理)市場の動向
NF膜は近年、よりろ過率などを向上させた高性能な製品が登場しています。東レでは2019年に従来品の約3倍の透水性能と優れたイオン・有機物分離性能を備えた超高透水NF膜を開発しました。当該品は精密な細孔構造とひだ状構造を形成することによって面積を拡大し、選択分離性能を向上させており、従来から利用されてきた水処理用途に加えて、資源回収やバイオファイナリー用途の活用が期待されています。
さらに東レでは、2022年にろ過効率に加えて耐酸性を向上させたポリアミド製のNF膜を開発しました。従来のNF膜は酸に対する耐久性が低く、使用は中性の溶液に限られていましたが、酸で膜が劣化するメカニズムを研究し、改善を図った結果、従来品よりも大きく耐酸性を向上させることに成功しました。耐酸性の向上に伴いNF膜は使用済みリチウムイオン2次電池に強酸を用いて有価金属を回収工程で使用できるようになり、今後の需要拡大にさらに弾みがつくと期待されています。
今後の展望について
NF膜は有機物やバクテリア、微生物などを水から除去するための処理に必要不可欠です。
世界人口の増加に伴い、飲料水や生活水等の使用量はますます増加する傾向にあり、NF膜の需要はさらに高まると予想されています。
特に中東やアフリカ、アジア地域では慢性的に飲料水不足しており、安全な飲料水を確保できない状況が多くの地域で続いており、NF膜の需要が高いといえるでしょう。
また、こうした飲料水や生活用水、工業用水の需要増や化学薬品不使用の水処理の増加等の伴い、NF膜などの水処理膜の市場は2030年まで増加を続け、成長率も拡大傾向が続くと期待されています。
これに伴い、中国や韓国のメーカーの新規参入、欧米メーカーと日系メーカーの競争激化が予想されています。
こうした状況を勝ち抜くためには、市場動向や競合の動向を把握し、事業戦略を立てていく必要があります。そうした際に役立つのが、市場調査やマーケティングリサーチの実施です。調査を実施し、現状や今後のマーケット動向を把握することは、今後の戦略を立てる上でとても有効な手段です。
また、市場調査やマーケティングリサーチを実施する場合には専門の調査会社の活用をお勧めします。自社で実施した場合、収集できる情報に限りがあることや、調査を実施する手間も掛かってしまいます。一方、専門の調査会社の利用においては、プロの調査員がより有益な情報の収集に努めるため、より質の高い情報の収集が期待できます。
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