ニッケル水素電池の概要と市場動向を把握しよう
ニッケル水素電池とは
ニッケル水素電池はプラス極にオキシ水酸化ニッケル、マイナス極に水素化合物を用いた充電可能な二次電池の一種です。電極とセパレータ、電解液から構成され、1970年代に人工衛星向けのバッテリーとして開発されました。ニッケルカドミウム電池やリチウムイオン電池とは異なり、有害物質を含まず、高速充放電が可能となっており、過充電や爆発の危険性が低い特徴があります。
ニッケル水素電池は1990年代に実用化されて以降、ニッケルカドミウム電池からの移行需要もあり需要を伸ばしていましたが、2000年代中盤になると携帯電話用バッテリー向けなどにおいて電気容量が大きく高い放電電圧と500回以上もの充放電に耐えうるリチウムイオン二次電池への置き換えが進んでいます。しかし、ニッケル水素電池は有害物質を含まないこと、高速充放電が可能であること、リチウムイオン電池のような過充電や爆発の危険性が少ないなどのメリットがあることから、現在も様々な用途の二次電池やハイブリッドカー向けバッテリーなどに活用されています。
ニッケル水素電池市場の動向
充電して繰り返し使えるニッケル水素電池は、使用済みの電池をニッケルとコバルトなどを分離精製して採用できるリサイクル性の高さや環境へのやさしさ、水溶性の電解物質を使用しているため安全性が高いなどの特徴を持ちます。さらに高寿命で、低温から高温まで幅広い環境下で使用できることから、前述のハイブリッドカーのほか医療やインフラ、IoTなど幅広い分野・業界で使用されています。
トヨタ自動車では、2021年に改良発売したハイブリッドカー「アクア」に駆動用の車載電池に世界で初めて「バイポーラ型」と呼ばれるニッケル水素電池を採用しました。バイポーラ型とは、両面にそれぞれプラス極とマイナス極を塗布した集電体を複数枚重ねた電池です。このバイポーラ型のニッケル水素電池は従来のニッケル水素電池より出力を向上できる上、モジュールの小型化にも寄与しており、非常に注目されています。
また、長時間大きな電力を必要とする用途においては長時間使用可能、かつ高寿命で大容量の安全性が高い蓄電池の需要が高まっています。一方、電池の大型化や蓄電池の品質・性能が課題となっていました。そんな中、ニッケル水素電池の民生用におけるグローバルシェアトップのメーカーであるFDK株式会社は2022年、大型でも高品質を維持しながら性能を発揮できるニッケル水素電池用極板の開発に成功し、コンテナやロボット、データセンターのバックアップ音源などに用いられる大型蓄電池の量産を群馬県内の工場で開始しています。
今後の展望や課題について
ニッケル水素電池は大きな需要が見込める自動車駆動用の二次電池市場向けでの普及が期待されています。特にハイブリッドカー向けの需要が期待されており、脱酸素の動きに合わせて日本や北米を中心に急拡大が予想され、少なくとも2030年頃まで拡大が続くと見込まれています。
このようにニッケル水素電池の市場は有望性が高いといえますが、参入プレイヤー間の競争も激しくなっています。こうした状況において事業を拡大していくには市場調査やマーケティングリサーチを実施し、市場動向を把握しておく必要があります。
但し、これらの作業は自社で行うことに限界があるため、プロの市場調査会社に依頼することをおすすめします。マーケティングリサーチコンシェルジュでは、経験豊富な専門のリサーチャーが調査内容や市場調査にかかる費用などの相談に対応し、最適なご提案を行います。
今後の業績拡大、新規市場開拓・参入などを検討している企業は、まずマーケティングリサーチコンシェルジュに相談し、市場調査・マーケティングリサーチを積極的に実施しましょう。戦略策定や市場参入を検討するにあたって有益な情報が収集でき、今後のビジネスの方向性を決定する上で役に立つことが多いでしょう。