パワーデバイスの概要と市場動向を把握しよう
パワーデバイスとは
パワーデバイスは、電気エネルギーの変換、制御に使用する半導体素子です。パワーデバイスはバッテリー充電やモーター駆動などに利用され、産業機器や電子機器、電気自動車等様々な分野に採用されています。
パワーデバイスには電気エネルギーの変換・制御の役割があり、電圧や周波数の変更、直流→交流間のスイッチングなどの機能を担っています。こうした機能によりエネルギーの無駄を防ぎつつ、効率的な機器・装置の稼働が可能となります。
エアコンや冷蔵庫といった家電の省エネ効果を高めるための部品であるインバータ装置は直流の電圧を交流に変換する機能を指し、電圧や周波数を自由にコントロールし、モーターの動きを細かく調整しており、こうした部品にパワーデバイスが活用されています。
パワーデバイス市場の動向
コロナ禍においても、パワーデバイス市場は成長を続けています。新型コロナウイルスの影響は多くの産業にダメージを与えましたが、リモートワークの普及を受け、スマートフォンやパソコン、サーバー向けの需要が大きく伸長したこともあり、パワーデバイスの市場もその恩恵を受けました。
また、自動車業界では自動運転やセンシングなど半導体が必要となる分野が増え、これらの分野においてパワーデバイスの需要が高まっている点も追い風となっています。
現在、パワーデバイスの世界市場は、トップシェアを誇るドイツやアメリカのメーカーを、日本の企業が追いかけるという図式となっています。パワーデバイスは様々な用途に使われる一方、顧客のニーズも多岐に渡るため多品種少生産に対応できる生産体制や開発力が求められるため、参入障壁が高い領域となっています。
今後の展望
パワーデバイス市場については今後も5Gの進展等の影響により、IoT機器向けの需要を中心に市場拡大が続くと予想されています。
また、パワーデバイスに使用する素材は、電力消費量の大きさに課題があった従来のシリコン(Si)から、SiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)といったものに軸足を移しつつあります。炭化ケイ素は高い耐熱性を持ち、電圧調整時のスイッチング速度が速いことが強みであり、今後、車載システム向けでの採用が進むと期待されています。
アルミ鍛錬の副産物である窒化ガリウムもSiC(炭化ケイ素)のようにスイッチング性が高く、特に高周波の電源向けの需要が期待されています。
ヨーロッパ各国はSiC(炭化ケイ素)素材の製品を推進しており、中国も官民共同で国内の生産力を高めようとしています。日本もSiC(炭化ケイ素)素材の製品の生産増強を進めようとしていますが、投資規模に差があるため、どこまで競争力を保つができるのが注目されます。
このようにパワーデバイスの市場は刻々と変化しており、常に動向を注視する必要があります。このため、もし、市場参入を検討している場合には専門の市場調査会社を活用することをお勧めします。業界に精通した調査員が情報収集を行ってくれるため、事業拡大に有益な市場動向に関する情報を得られるかもしれません。是非、積極的に活用してみましょう。