レドックス・フロー電池の概要と市場動向を把握しよう

レドックス・フロー電池とは

レドックス・フロー電池は、充放電が可能な据え置き型蓄電池の一種です。"レドックス"とは還元(reduction)と酸化(oxidation)を組み合わせた言葉であり、"フロー"は流れ(flow)を意味します。レドックス・フロー電池の基本原理は1970年代にNASAによって発表され、住友電気工業株式会社が2000年代に実用化しました。

レドックス・フロー電池は、電解液を貯蔵する正負極タンクと電池反応を行う流通形電解セル、電解液を循環させるポンプなどから構成されています。充放電は、2種類のタンクから電解液を電極のあるタンクへ送ることによって起こる酸化還元反応を利用して行われます。重量エネルギー密度が低いため、小型化は難しい二次電池でありますが、充放電を繰り返しても電極や電解液がほとんど劣化しないためサイクル寿命が長く、10年以上利用可能である点がレドックス・フロー電池の最大の特徴です。加えて、大型化しやすく電力貯蔵設備に適していることや、発火性のある材料を使用しておらず安全性が高いといった特徴も有しています。

このような特徴を有するレドックス・フロー電池は、風力発電や太陽光発電のように天候や環境によって出力が左右されやすく発電量が不安定なものの蓄電用途で活用することにより、再生可能エネルギーの導入拡大に貢献する技術として注目されています。

レドックス・フロー電池市場の動向

レドックス・フロー電池はエネルギー密度の低さから小型化の難しさがネックであり、大規模な貯蔵設備向けでの利用が前提となっていました。しかし、埼玉工業大学は中小型レドックス・フロー電池の実用化を目指し、2016年に全国で初めて大学内の「ものづくり研究センター」において中小型のレドックス・フロー電池の実用化を進めています。

また、このほかにも様々なかたちでレドックス・フロー電池の普及に向けた動きが進められており、北海道電力では世界最大級のレドックス・フロー電池を設置し、実用化の検証が行われています。さらにアメリカではカリフォルニア州の電力卸市場において収益化の検証が行われています。

さらに中国では、吉林省にアジア最大級のバナジウムレドックス・フロー電池の生産・加工を行う工場が着工し、吉林省における風力・太陽光発電を推進する大型新エネルギープロジェクトの一端を担うクリーンエネルギー産業基地として、製造した製品を中国国内のみならずヨーロッパや南米、オセアニアへ輸出する計画です。

ヨーロッパにおいてもレドックス・フロー電池に対する関心が寄せられており、欧州連合の担当者と電池メーカーである住友電気工業がレドックス・フロー電池に関連する再生可能エネルギーやリサイクルを含めた戦略に関して意見交換を行いました。このように世界各地でレドックス・フロー電池の市場が立ち上がろうとしています。

今後の展望について

レドックス・フロー電池は安全性が高く、再生可能エネルギー向けの二次電池として、今後の利用拡大が期待されます。

レドックス・フロー電池は全固体LiBや有機二次電池などとともに次世代二次電池に挙げられており、これらの次世代電池の市場は今後10年で数十倍の成長に達する可能性があると期待されています。

このようにレドックス・フロー電池を含む次世代二次電池は今後大幅な成長が見込まれる市場です。もし、このような市場に参入する場合はレドックス・フロー電池を含む、それぞれの電池市場や参入プレイヤーの動向を把握し、事業戦略を立てる必要があります。その際に役立つのが市場調査です。しかし、これらの作業を自社で行うのは収集できる情報に限りがあり、プロの市場調査会社への依頼が推奨されます。

マーケティングリサーチコンシェルジュは幅広い業界・地域に対応し、プロの専門リサーチャーが相談から調査業務にあたります。リサーチャーが一貫して対応することにより、より有益な情報が得られます。今後の事業拡大、新規参入を検討しているのであれば、まずはマーケティングリサーチコンシェルジュに相談してみましょう。

 

 

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