炊飯器(白物家電)の概要と市場動向を把握しよう
炊飯器(白物家電)とは
白物家電とは、家事の負担を減らして快適に過ごすこと可能とする家庭用電化製品です。
白物家電は冷蔵庫、洗濯機、エアコンなどが含まれ、いずれも筐体が白い製品であったことから「白物家電」という名称で呼ばれるようになりました。なお、白物家電に対し、テレビやオーディオ機器などは「黒物家電」と呼ばれています。
炊飯器は白物家電の一種であり、1955年にスイッチを入れるだけで自動炊飯できるタイプが登場しました。現在販売されている炊飯器は大きく分けて、マイコン炊飯器とIH炊飯器の2種類に分類されます。
マイコン炊飯器は1979年に登場した古くから存在するタイプで、本体の底に備え付けられたヒーターにより内釜を直接加熱して炊く方式です。一方、IH炊飯器は、IHコイルと呼ばれる磁力線で内釜全体を加熱して炊く方式です。IH炊飯器は釜全体を加熱するため、一気に大火力することができることもあり、現在は主流のタイプとなっています。
炊飯器(白物家電)の市場動向
米が主食の日本において、炊飯器は広く普及している白物家電です。しかし、1962年以降、パンなど小麦由来の食品が普及したこともあり、国民1人あたりの米の消費量は減少にあります。加えて、中食や外食の利用が増え、自宅で調理をしないケースも増えており、こうした状況に加え、人口減少も影響し、国内の炊飯器の出荷台数は減少傾向となっています。
そんな中、新型コロナウイルス感染症流行の影響に伴い、外食の機会は大幅に減りました。その結果、自宅で食事をする機会が増えたことや、テレワークの実施に伴い自宅にいる時間が長くなり、自宅で料理をする機会が増えた人も多く、炊飯器の使用頻度は増えています。
その結果、「自宅でおいしいごはんが食べたい」と考える人が増え、内釜の素材や炊き方にこだわった高機能・高価格の炊飯器を購入する方も増えており、炊飯器の購入単価は上昇傾向となっています。また、炊飯器購入理由としてもっとも多くなっているのが、「よりおいしいごはんを食べるため」という回答であり、ごはんの味にこだわる消費者は増加しています。このため、米の種類や好みによって炊き方を選べる機種が人気です。
さらに健康志向の高まりもあり、ダイエットやメタボ予防・改善を意識した米の糖質をカットして炊飯できる糖質カット炊飯器も注目を集めています。
今後の展望について
前述のように、日本ではごはんの味にこだわる傾向は以前より強くなっており、各メーカーでも、炊き方や内釜の素材などにこだわった10万円以上の高級炊飯器のラインナップが増えています。このような高級炊飯器が人気を集めているものの、炊飯器の国内における出荷量は減少傾向となっており、市場の縮小が懸念されます。
また、半導体不足や円安、原材料価格の高騰などにより国内主要メーカーにおいては炊飯器の出荷価格値上げを発表しており、こうした影響は市場の縮小に拍車をかける懸念もあります。
一方、国内市場における炊飯器の販売量が伸びない中、海外の市場開拓を図る動きもみられます。世界に目を向けると電気炊飯器の市場規模は拡大しており、今後も高い成長が期待されています。このため、今後はいかに海外における炊飯器の需要を取り込んでいくかも参入する場合、重要な課題となるでしょう。
市場環境が厳しい中、競争の勝ち筋を見つけるためには、市場調査を実施し現状のマーケットを把握することが今後の戦略を立てる上で有効です。これから新規参入を検討している企業やすでに参入し業績が低迷している企業においては、専門の調査会社を活用し、積極的に市場調査を実施することをおすすめします。有益な情報を収集してマーケットをよく理解できれば、ビジネスの方向性を決めやすくなるはずです。
マーケティングリサーチコンシェルジュでは、市場調査に関する費用や内容に関する具体的な提案を受けることが可能です。積極的に問い合わせてみましょう。