太陽熱発電の概要と市場動向を把握しよう

太陽熱発電とは?仕組みや特徴を解説

太陽熱発電とは太陽の熱を利用し、電気を創出する発電方法を指します。基本的なメカニズムは、太陽熱で発生させた蒸気を活用し、タービンを回す方法です。

再生可能エネルギーを利用するため、環境に優しい発電方法であり、今後が期待されています。 太陽熱の発電装置は鏡やレンズなどの集光・集熱部分と、タービン等の発電部分から成り立っています。

また、集光・集熱部分の仕組みは以下の4つのタイプに分類されます。

・トラフ・パラボラ型:半円状のミラーを使って光を集め、反射光が当たる部分に集熱管を通したタイプ。導入にかかるコストが比較的安価で済む一方、発電効率が低いのがネックとなっている。

・リニア・フレネル型:凹面の集光ミラーを並べ、上部に位置する集熱管に光を集めて蒸気を作るタイプ。トラフ型とよく似た作りであり、導入コストはトラフ型以上に安価である。ただし発電効率の低さはネックである。

・タワー型:タワーの上部に設置された集熱器に対し、タワーの周囲にちりばめられた平面鏡から当てられた光を集めるタイプ。発電効率は非常に高い反面、タワーの構築や制御装置の導入に多額のコストが生じるのがネックである。

・ディッシュ型:大きな皿の形をしたミラーで集光し、焦点部に設置されたタービンを使って発電機を回すタイプ。発電効率は高いものの、導入実績はまだ少なく、普及に向けてはさらなる技術改良が必要とされている。

また、太陽熱発電の最大の特徴は、コストパフォーマンスに優れている点です。太陽光発電と比較した場合、導入コストが安く、熱への変換効率も高いため、費用対効果に優れています。一方、大規模発電を行うためには広い土地を確保する必要があります。

発電を行うには大量の熱エネルギーを集める必要があるため、広大なスペースがなければ、十分な発電量を得るのが難しいのがネックです。なお、太陽の熱を利用した発電方法なので、夜間や雨天時は稼働できないのではと思う方もいるでしょう。

その場合、は蓄熱装置を活用することによって、日中に蓄積した熱エネルギーを太陽が出ていない時期に使用することも可能です。

太陽熱発電市場の最近の動向

太陽熱発電の実績は世界的に増えてきています。特に2010年代に突入して以降、その動きは顕著であり、ヨーロッパやアメリカ、アジアなどにおいて大規模な太陽熱発電所を設置する国が増えています。

特に太陽熱発電が活発なのは日照量の多いサンベルト地域です。例えばカリフォルニア州のイバンパ発電所はグーグルが出資し、世界最大の太陽熱発電所として注目を浴びました。年間発電量はアメリカの一般家庭の数万世帯分にも及ぶと言われており、今後は環境への意識の高まりも追い風に大規模の太陽熱発電設備の建設が活発化すると期待されています。

太陽熱発電の懸念点や今後の展望

太陽熱発電は太陽熱を利用した発電方法であるため、日照量が多い地域が適しています。このため、中東、インド地域は太陽熱発電に適した地域といえます。

一方、日本のように日照量の多い箇所が少ない地域の場合、太陽熱発電にあまり適していないでしょう。また装置の長期利用を考慮すると、湿気による劣化が懸念される南米などもあまり適していない地域でしょう。また、現在の技術レベルでは十分な発電量を確保するには大規模な施設の構築が必須となっており、国土の狭い地域では設備スペースを確保するのが難しく、あまり太陽熱発電には向かないでしょう。

日本においてはあまり太陽熱発電に向いた地域が少なく、普及のハードルは高い状況です。しかし、今後、集光技術の向上や湿気に強い装置作りが進めば、国内においても太陽熱発電が普及する可能性はあるでしょう。

また世界レベルでみれば、太陽熱発電は将来的に世界のエネルギー基幹産業の1つになると期待されており、優れた技術を有する日本企業が海外展開すれば市場展開できる可能性も少なくないでしょう。 もし、太陽熱発電市場への参入を検討しているのであれば、事前の市場調査は必須でしょう。また、自分たちだけでの市場調査やマーケットリサーチでは収集できる情報量に限界が出てきます。

このため、より質の高い情報の収集については専門の市場調査会社の利用がおすすめです。プロの手を活用すれば、今後の事業展開に役立つ有益な情報が手に入るでしょう。

 

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