注射器の概要と市場動向を把握しよう
注射器とは
注射器は薬剤を体内に注入するために使用する機器です。また、注射器は基本的に薬剤を入れる注射筒とピストン、先端の注射針で構成されています。
注射器には様々なタイプがあり、針刺し事故防止機能付きの注射器や短時間の点滴時に使われる翼状注射、針がないタイプなど注射器の種類は多岐に渡ります。また、注射針はステンレス製が一般的ですが、昨今は痛みの軽減を目的としたプラスチック製の針も登場しています。
注射器の用途は医療用と実験用に分類されます。実験用の場合、液体・気体の注入のほか、体積の測定や加圧時にも用いられます。なお、有機溶剤を使用する場合があるため、注射筒にはガラス製を使用するケースが多くなっています。
また、ガラス製の注射針は減菌して何度も使用することができるのに対して加熱殺菌できないプラスチック製の注射針は、個別包装され、使用後は破棄する必要があります。一方、医療用注射器は衛生安全面への考慮から、いずれにおいても使い捨てタイプが基本的に使用されます。
しかし、使い捨ての注射器は医療廃棄物の増加の要因にもなっています。以前は、予防注射時には針を使用しないハイジェッタータイプが使われていました。しかし神経線維への損傷が確認され、感染対策も不十分であることから現在は使用が中止されています。
注射器市場の動向
注射器市場は新型コロナウイルスによるワクチン接種の影響もあり、市場規模は拡大傾向となっています。一方、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、注射器を製造できない多くの発展途上国は注射器の確保が大きな問題となっています。ユニセフはこうした事態に対処すべく、注射器が不足している国や地域に10億本の注射器を支給する計画を立てていますが、それだけで需要を満たすのは難しいとみられています。
このため、1本の注射器で可能なワクチン接種回数を増やす取り組みが進んでいます。従来の注射器では新型コロナウイルスのワクチンは5回までしか使用できませんでした。しかし、「ローデッドスペースタイプ」を使えば6回までの使用が可能です。これは一般的な注射器を使用する場合、機器の構造的に薬液の一部が内部に残存してしまいます。
一方、ローデッドスペースタイプの注射器であれば、外筒とブランジャーの組み合わせが精密なので、薬剤を最大限に押し出すことができ、筒先に薬液がほぼ残りません。
最近では、ワクチンを7回分摂取できる注射器の生産も進められています。この注射器は針と注射器の筒を一体化させることで、薬液の残量を最大限まで抑えることが可能となっています。
このように新たな注射器の開発も進み、注射器の旺盛な需要に対応する取り組みも進んでいます。
今後の展望について
新型コロナウイルス以外のワクチン接種の需要や治療目的の需要(糖尿病等)は今後も増加していく予想されており、注射器及び注射針の市場は拡大傾向が続くとみられています
なかでもアジアは世界トップの注射器需要量であり、今後も市場の成長を占う重要なエリアになるとみられます。
注射器の市場は刻々と変化しており、今後の動向を常に把握しておく必要があります。そうした作業を自社で行うには限界があります。そうした際に役立つのが市場調査会社の活用です。今後の事業戦略を立てる際には市場調査のプロである市場調査会社を利用し、信頼できる情報を入手し、そうした情報を役立てましょう。