【レアメタル・レアアース】チタンの概要と市場動向を把握しよう
レアメタルのチタンとは
産出量が少ないため希少性が高いまたは技術的・経済的な理由で抽出するのが困難な非鉄金属をレアメタルと呼びます。レアメタルは添加材として特性を向上させる目的で使用されるケースや、電子材料・磁性材料として使用するケースが多くなっています。
レアメタルとされるものは31種類ありますが、そのうちの1つがチタンです。チタンは1790年に新たな金属元素として発見され、1910年にアメリカにおいて純度99.9%のチタン抽出に成功し、現在に至っています。
チタンには次の特徴があります。
▪ 耐食性が高い
▪ 耐熱性が高い
▪ 強度が高い
▪ 軽量性に優れる
チタンの特徴の1つは錆びにくいことです。海水や塩水など金属を錆びさせやすいものに対してもチタンは高い耐食性を有しています。そのため、海洋建造物の材料に採用されるケースが多くなっています。また、チタンは高い耐熱性を有しており、解ける温度は約1,660度となっています。また、チタンは高強度・軽量などの特徴を有していることから、航空機などの部品に使用されています。
一方、チタンのデメリットとしては、次のポイントが挙げられます。
▪ 価格が高い
▪ 加工が難しい
チタンのデメリットの1つが、価格です。チタンの製造には還元と真空分離といった工程があり、これらには多く電気の消費するため、他の金属と比較すると価格は高額になります。ステンレスと比較した場合、チタンの価格はステンレスの10倍にもなります。
もう1つのデメリットは、加工が難しいことです。高い強度を有している一方、硬い素材であるため、加工を行うには高い加工技術が必要です。
チタン市場の動向
チタン市場は拡大傾向が続いており、2010年代後半から生産量・貿易量ともに増加しています。また、チタンの中間製品であるスポンジチタンは、ロシア・日本・中国の3カ国が全世界の生産量の大半を占めているのが現状です。
なお、次に挙げる業界が主なチタンの需要先となっています。
▪ 航空宇宙業界
▪ 船舶・海洋・エネルギー業界
▪ 自動車業界
▪ 火力・原子力発電業界
▪ 石油・化学工業業界
▪ 土木建築業界
▪ 医療業界
上記においてチタン需要の約半分を占めているのが航空宇宙用途であり、2010年以降の航空輸送量の増加に伴う、商業用旅客機向けの需要拡大が牽引し、チタンの需要も増加傾向となりました。しかし、近年は新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、航空機向けを中心に需要が減少しました。その後、徐々に需要は回復しつつありますが、チタンの供給元であるロシアの軍事進攻に伴い、チタンのサプライチェーンは不安定化し、価格が一時的に急騰する事態になりましたが、現在はそうした状況も落ち着きつつあります。
今後について
今後のチタン需要は世界経済の動向次第ですが、航空分野の需要回復や塗料・コーティング分野(自動車向け等)の需要拡大に伴い、増加傾向が続くと見込まれています。但し、国際情勢の変化に伴い、チタンのサプライチェーンが不安定化するリスクがあり、その点は引き続き、注意が必要となるでしょう。
こうした点からもチタン関連のビジネスを行う際には、最新の動向を注視する必要があるでしょう。しかし、自社で動向を把握するには限界もあります。そうした際に役立つのが専門の調査会社です。調査会社を活用することによって、自社では得られない有益な情報を収集でき、今後の事業戦略に役立てることができるかもしれません。今後の事業拡大を検討する際には調査会社の活用も視野に入れておきましょう。