換気設備の概要と市場動向を把握しよう

換気設備とは

室内の空気を入れ替える目的で利用するシステムを換気設備と総称します。

換気設備は屋外から空気を取り入れる吸気設備と室内の空気を排出する排気設備で構成されており、換気を行うことによって室内の粉塵や有害ガス、臭いなどの低減が可能です。また、換気設備は要求されるクリーン度に応じて、様々な種類があるのが特徴です。

換気設備は風力や室内外の温度差による浮力を利用して空気の入れ替えを行う自然換気と、扇風機や送風機など機械の力を借りて行う機械換気の2種類が存在します。

機械換気においては吸気口と排気口のどちらか一方、または両方にファンがついています。このファンにより強制的に空気の循環がなされ、安定した換気が可能となります。

なお、機械換気には3つの種類があり、具体的には以下の通りになります。

・第一種換気方式: 吸気口と排気口どちらにもファンが取り付けられ、機械換気においてはもっとも換気力が高い方式です。大規模換気に適しており、集合住宅や戸建などの施設に利用されています。また、片方のファンに空気清浄機を取り付けることで、人の出入りが多い施設でも常にきれいな空気を保てます。

・第二種換気方式: 吸気口にファンを取り付け、排気口は自然排気で換気を行うタイプを第二種換気方式と呼びます。吸気の力を利用し、排気口から室内の空気を室外に押し出すことが可能です。なお、第二種換気方式では建物の密度によって湿った空気が壁に浸透し、結露をもたらす場合があり、結露を防ぐには大きな排気口を設置し圧力を保つ必要があります。

・第三種換気方式: 第三種換気方式は第二種換気方式の逆のタイプであり、排気口は機械換気、吸気側は自然換気を用いる方法です。トイレやごみ置き場など臭気や汚染物質が充満しやすい箇所での利用に適しており、強制的な排気を行います。

換気設備の動向、今後の展望

換気設備の市場動向を見た場合、第三種換気方式の導入が増えています。

性能面で優れている第一種型換気方式の普及が進まないのは、価格の高さや施工の手間などが要因となっています。また、設備が大きいため、スペースの確保に苦労することも難点です。

但し、今後においては省エネ化の進展により建物の気密レベルが高まっていくことから、ファンの性能が低い第三種換気方式では十分な換気が難しくなると予想されています。

このため、今後は性能面で勝る第一種換気方式の普及が徐々に進むと期待されています。

新型コロナウイルスにおける換気設備市場への影響

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、換気設備の重要度は従来よりも高まっています。

新型コロナウイルスは密閉空間で感染が広がりやすいのが特徴であるため、特に人が密集するような場所では十分な換気が推奨されています。しかし、飲食店の中には十分な換気設備が整っていないところも多く、その結果、利用を避けられてしまい経営的に苦しい状況に追い込まれてしまっているケースも少なくありません。

このような現状を重く見た政府は、コロナ対策の一環として高機能換気設備等の導入支援事業を立ち上げました。この事業では高機能換気設備や空調設備の導入にかかる費用に対し、補助金を給付します。

中小の飲食店や不特定多数が利用する施設が高機能換気設備を導入した場合、費用の3分の2が支給され、それ以外の施設への支給額は導入費用の2分の1です。こうした施策の後押しもあり、今後高機能換気設備の需要拡大が期待できます。

但し、状況は刻々と変化しているため、換気設備市場への参入を検討している場合には入念な市場調査が必要です。

また、市場調査やマーケットリサーチを独力で行うには限界があるので、可能であればプロの市場調査会社の利用をおすすめします。

 

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