水処理膜(RO膜など)の概要と動向を把握しよう
RO膜とは
ROとは「Reverse Osmosis Membrane」の略であり、RO膜は日本語で「逆浸透膜」を意味しています。このRO膜は、1960年代に将来的な水不足の対策のためにアメリカで開発された浄水フィルターです。
一般的な浄水フィルターは残留塩素などを除去のみですが、超微細な孔を持つRO膜は他のフィルターでは不可能な、小さな金属やウイルスなど水分子以外のほぼすべての分子レベルの物質を取り除けるのが大きな特徴です。海水をろ過すれば純水となり、放射性物質も除去可能な超高性能な浄水フィルターとして活用されています。
この他、水処理膜にはRO膜と同じ逆浸透膜の「NF膜(ナノろ過膜)」や、「UF膜(限界ろ過膜)」、「MF膜(精密ろ過膜)」などがあります。
水処理膜(RO膜など)に関する動向
RO膜をはじめとした水処理に用いられる膜は、水不足への対策や水資源の有効活用という観点で注目されている分野です。日本においては東レや東洋紡、日東電工などが研究開発を進めており、中でも東レはアラブ首長国連邦で世界最大規模の海水淡水化プラント向けの案件を受注するなどRO膜においてはトップクラスの実績を有しています。
また、東レは中国でも需要を取り込んでトップシェアを目指すために2022年初頭に広東省の大規模製造拠点で生産を開始しました。さらに2022年4月には中性分子成分の除去性能を向上させ、半導体製造時に使用する超純水精製を可能とする超低圧RO膜エレメントの発売も開始しています。
この他、日本初の膜を専門にした研究機関である神戸大学の先端膜工学研究センターではRO膜の4分の1のエネルギー消費量でろ過できるFO膜を使用した水処理システムの研究開発を進めています。
今後の展望について
RO膜などの逆浸透膜の市場については年々拡大を続けており、2027年には2021年の約2倍の市場規模に達すると予想されています。RO膜市場は世界的な水不足に加えて、中東や南米、アフリカ諸国などの新興国での都市化や工業用プロセス水の需要増加などが市場の成長要因に挙げられます。この他、アメリカや中国、オーストラリア等における清潔な生活水を求めるニーズの増大も、市場を牽引するとみられます。
特に中東・北アフリカ地域は全世界人口の約5%が集中する地域でありながら水資源が不足しており、需要の1%にも満たないほど水不足に悩んでいる地域もあります。そのため、これらの地域では海水淡水化プラントへの投資継続が見込まれており、RO膜の安定した需要が期待されています。
このため、逆浸透膜市場においては中東や北アフリカが最大の市場となっており、RO膜に関してはサウジアラビアが世界最大の生産地かつ需要先となっています。
このようにRO膜などの水処理膜は今後も成長が見込める市場です。しかし、このような市場に参入もしくは実績を伸ばしていきたいと考えている場合、市場の動向を把握し、正しい戦略を立案し、実行していく必要があります。その際に、役に立つのが市場調査です。市場調査を実施し、市場全体動向や競合の動向等に関する情報を把握することは今後の戦略を立てる上で非常に有益です。しかし、自社のみで市場調査行うには把握できる情報に限りがあります。このため、より有益な情報収集できる可能性のあるプロの市場調査会社への依頼をおすすめします。
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