ベンチマーク調査とは?項目と手順・注意点を解説

どのような業界においても、市場で勝ち抜くには競合企業の実態・動向を把握し、自社の強みや弱みを理解、競合の優れた部分を参考にすることが大切です。そこで役立つのがベンチマーク調査です。自社の現状を客観的に分析することによって改善すべき点を明確にし、より有効な事業戦略・マーケティング戦略が立案可能となります。
本記事では、ベンチマーク調査の基本的な知識や調査目的、主な調査項目について解説します。また記事後半ではベンチマーク調査の手順や実施する際の注意点も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

 

ベンチマーク調査とは?

 

ベンチマーク調査とは、競合他社・先進企業に関するさまざまな情報(事業内容や製品など)を収集する調査手法のことです。他社というベンチマーク(基準・指標)を設けることによって、自社の事業を客観的に評価・判断しやすくなります。
調査内容は多岐にわたり、売上や販売戦略、組織体制、広告戦略、製品・サービスの売れ筋、スタッフの接客対応など、さまざまな角度から情報を集めます。
収集した情報は自社の事業を改善するために役立てる他、収集した情報をもとに自社の業界における位置付けを明確にすることによって、競合との差別化を図る際や、他業界へ新規参入する際などに調査結果を活用していくことも可能です。
また、M&Aを検討する際、対象となる企業の評価や将来性の判断が必要となりますが、ベンチマーク調査で得られる情報は非常に有用です。


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ベンチマーク調査の目的

 

ベンチマーク調査を行う目的として、大きく3つが挙げられます。それぞれについて説明します。

 

先進企業の手法を取り入れる

 

ベンチマーク調査を実施することによって、業界内外の優れた企業の戦略やビジネスモデルに関する理解を深め、自社の経営や事業戦略に役立てることができます。

例えば顧客サポートの迅速さや製品のカスタマイズ性など、他社が優れていると認識している点に関する情報を収集し、参考にすることによって自社のサービス改善につなげることができます。特に同じ業界であれば、先行事例を自社に取り入れることによって、より成果につなげやすくなるでしょう。

また異業種から革新的な事例を調査することによって、新たな視点で自社の業務・戦略の見直しに役立てることもできます。同じ業界にはない事例を参考にすることによって、業界標準を超える顧客体験を創出できるかもしれません。

ただし、単に成功している企業の事例を模倣するだけでは意味がなく、自社の特性や顧客ニーズ、扱う製品・サービスなどに合わせて取り入れることも重要です。

 

競合他社との差別化を図る

 

ベンチマーク調査を実施し、競合他社の強み・弱みを把握し、自社と照らし合わせることによって、市場における自社の立ち位置や他社との違いを明確化でき、競合他社との差別化に役立てることが可能です。

例えば他社製品・サービスの機能や価格、販売経路、プロモーション戦略などを調査して、自社との違いを把握することによって製品・マーケティング戦略のブラッシュアップ、ひいては自社の強みの強化、弱みの補てんに活かすことが可能です。

また、ベンチマーク調査を実施することによって競合他社が提供できていない付加価値を発見し、それを自社の強みとして提供できれば、競合他社に対し大きな優位性を有することができるでしょう。この他、自社の限られたリソースをどの分野・戦略等に投下するべきか、判断する際にも役立ちます。

 

買収を検討している企業の状況を把握する

 

買収を検討している企業の経営状況を把握するために、多角的な情報収集を行う手段としてもベンチマーク調査は有効です。企業買収や事業提携、出資、企業合併などを行う際のリスクを最小限にするためには、対象企業の売上高・収益性といった基礎情報の把握の他、製品・サービスの競争力に関する情報把握も重要です。

ベンチマーク調査を実施することにより、対象企業の強みや弱み、市場での位置付けに関する情報を収集し、対象企業に関して将来性を含め客観的に評価することができれば、M&Aの成功確率が高まり、その後の競争優位性も高まるでしょう。

 

ベンチマーク調査における調査項目

 

ベンチマーク調査で把握できる項目は多岐にわたります。具体的に、どのような項目があるのかを解説します。

 

売上や利益

 

特定企業や特定製品・サービスにおいて、どれくらいの売上・利益が出ているか把握することにより、新規参入や買収の検討、事業戦略・販売戦略の見直しを検討する際に参考にすることができます。売上・利益に関する情報の把握にあたっては、製品・サービス別やエリア別といったセグメントで把握するのも良いでしょう。

また、売上や利益に関連する販売金額や販売数量、利益率といった定量的な情報に留まらず、市場環境や競合優位性といった売上・利益に影響する背景要因を定性的に把握することも重要です。

 

企業の組織構造

 

競合他社や異業種の先進企業などの組織構造を調べることによって、効果的な自社の組織体制の構築に役立てることができます。調査実施にあたっては部署の構成や役割、拠点や人員数などの把握に努めると良いでしょう。これらの情報を詳細に把握できれば自社のリソースの配分や組織配置に活かせるでしょう。

この他、組織構造の調査にあたっては意思決定プロセス、部門間の連携方法と組織文化に関連するものや人事・教育制度に関する情報なども対象となります。こうした情報も把握し、他社の状況と自社の現状を比較することによって、最適な人員配置や部署編成に繋げることができるでしょう。

 

調達先や販売先・販売ルート

 

調査対象先に関する調達先や販売先・販売ルートなどに関する情報を収集することにより、これらの情報を自社の販売戦略・調達戦略の改善、新たな協業企業の検討などに活かすことができます。

原材料をどこから仕入れ、製造した製品は直接販売なのか代理店経由での販売なのか、そしてどのようなところに販売しているのか一連の流れを理解できれば、新規市場参入や既存事業の改善・拡大といった自社の事業展開に大いに役立つでしょう。

 

事業戦略

 

営業戦略や開発・生産戦略、マーケティング戦略、人事戦略など、他社の事業戦略に関する情報を把握することによって、自社の戦略の見直し・業績の改善・拡大に役立ちます。

例えば営業戦略に関しては他社のターゲット層や営業体制、営業方針などに関する情報を把握することにより、これらの情報をもとに自社の長所や課題と比較することによって、自社の課題解決の一助とすることができます。

この他にも事業戦略関連の情報を収集することによって競合他社が市場をどのように認識しているのか、自社の長所・課題をどう受け止めているのか理解することができ、今後の自社の各種戦略の検討、立案にあたって参考になるでしょう。

 

コスト

 

他社の製品・サービスにおけるコストに関する情報を収集することにより、自社の価格戦略や製造コストの見直しに役立てることができます。他社がどこにどのくらいの費用をかけているのかを把握することができれば、自社の調達戦略や組織体制、投資戦略などに効率化の余地がないかを検討しやすくなります。また、M&Aを検討する際、対象先のコストに関する情報を収集することによって事業収益性の検証に役立てることもできます。

 

製品・サービス

 

他社の特定製品・サービスのラインナップや内容の詳細を把握することは、自社の製品・サービスのブラッシュアップや差別化を図るにあたって、大いに役立ちます。

製品・サービスの機能や性能、価格、アフターサービス、ターゲットなど幅広い観点から調査を行うことにより、製品・サービスの強み・弱みや独自のセールスポイントを浮き彫りにすることができるでしょう。

 

CSR戦略

 

他社がどのようにCSR(企業の社会的責任)関連の施策に取り組んでいるのか把握することにより、自社の環境保護や人権保護の取り組み、働きやすい環境づくりといったCSR戦略の強化・改善に役立てることが可能です。

具体的な内容としては競合企業のCSR活動の内容や重点分野、実施規模、予算に加え、CSR活動の効果測定方法や情報開示方法、従業員の参加度合いなど多岐にわたります。

特に、自社と同一業界の企業は抱える課題が似ている可能性が高く、先進的な事例を参考にできれば、より充実したCSR戦略を実施できるようになるでしょう。

ベンチマーク調査の具体的な流れ

 

ベンチマーク調査の目的や調査項目について説明してきましたが、ここでは具体的にどのような流れで調査していくのか解説します。

 

①ベンチマーク調査前の準備をする

 

ベンチマーク調査の実施にあたっては、まず目的や方向性をしっかりと定めることが重要です。そうしなければ調査に掛かる手間が増え、良い調査結果を得ることも難しくなってしまいます。どういった目的で利用するのか、どのようなアウトプットが必要なのか事前に検討しておきましょう。

 

ベンチマーク調査のゴール・分析したいことを明確にする

 

まずは何のためにベンチマーク調査を実施するのか、目的を明確にしておきましょう。

目的が曖昧なまま作業を進めていくと、調査結果が目的とずれてしまいビジネスに活かすことができなくなってしまうかもしれません。不要な調査の実施は、人員・時間・費用などの無駄が発生してしまいます。調査が始まってからの軌道修正は、費用や時間の手間がさらに発生しまうため、事前の精査をできる限り行いましょう。

自社がどのような課題を抱えているのかを明確し、課題解決のためにはどのような情報を把握し、参考にすべきか検討しましょう。その結果、ベンチマーク調査でどのような内容を把握すべきか明確になるでしょう。

 

ベンチマーク調査のカバー範囲を明確にする

 

収集したい情報によって、調査を行うべき範囲は様々です。内容・目的に応じ調査範囲を明確化しましょう。

 

ベンチマーク調査のカバー範囲は主に以下のように分類されます。

 

● 企業情報

● 取引先情報

● ユーザー情報

 

優先度が高いのは、対象先の企業情報(売上・利益など)です。この他、対象企業の取引先に関する情報や、対象企業のユーザー情報(ユーザーの認知・理解・ブランドイメージなどの情報も含む)なども必要か検討しましょう。

 

②情報を収集する

 

調査目的や範囲が定まったら、情報収集を始めましょう。具体的にどのような手法で行うのか、3つの代表例を紹介します。

 

企業の公開情報を参照する

 

企業のホームページや専門雑誌、新聞など公開されている情報を参照する方法です。

手軽に行える方法であるため、初めて調査を行う企業にとっても取り組みやすいでしょう。特に対象先が上場企業であれば、企業活動やIR情報などを取得しやすいでしょう。ただし、性質上、表面的な情報にとどまりがちな点には留意してください。

他にも専門雑誌や新聞等は業界全体の市場規模・市場動向など企業のホームページなどに掲載されていない情報の取得が期待できます。

 

アンケートを行う

 

自社と対象先企業の製品・サービスの評価などを比較するため、ユーザーに対してアンケート調査を行うのも有効です。アンケートには2種類の手法があります。

 

● 定量調査:「はい・いいえ」や「1〜5」などの選択肢の中から回答する手法。集計結果を数値や割合で示せる点がメリット。

● 定性調査: 記述ベースで自由に回答させる手法。理由や要因等に関して定量調査よりも詳細な内容を把握できる可能性がある他、記述ベースであることから想定外の回答が得られやすく、新たな知見を得られる可能性もあります。

 

定量調査と定性調査を組み合わせて行うと、両者の欠点を補い、より有意義な調査結果を得られやすくなります。

目的に即してどのような調査方法を用いるべきか検討してみましょう。その際は調査方法や内容に問題がないように、専門の調査会社に依頼するのがおすすめです。信頼性のあるアンケート調査が実施できるでしょう。

 

ヒアリングを行う

 

ヒアリングにおいては対象先の他、対象先の情報を有している可能性のある社内の営業担当者や顧客、取引先などにヒアリングを行うのも大切です。

 

特に日々現場で情報を収集している営業担当者は、競合企業の様々な情報をインプットする機会が多いです。まずは手始めに、自社の従業員から調査を実施するのが良いでしょう。

 

その他のヒアリング対象として、下記のような例があります。

 

● 取引先(卸売り・小売り・仕入先)

● 顧客(消費者)

● 対象先

 

顧客(消費者)にヒアリングを行う場合は「複数人同時にヒアリングする形式」と「1対1で行う形式」があり、前者は複数名で行うため、他者の意見が刺激となり発言が活発になりやすく、後者は、落ち着いた状況で会話を深堀りしやすくなるのが特徴です。

 

③情報分析

 

情報収集後、その情報からどのようなことがいえるのかを分析しましょう。情報分析を行う際は、垂直方向・水平方向どちらの観点からも見ることが大切です。

 

● 垂直の深掘り:収集した情報を階層的に掘り下げていくこと

● 水平の深掘り:収集した情報同士の因果関係から、関係性を掘り下げていくこと

 

情報の深掘りに留まらず、様々な情報の関係性にも目を向けることで、価値のある内容を見出しましょう。

ベンチマーク調査を実施する上での注意点

ベンチマーク調査を実施する上で、3つの注意点があります。注意点を押さえて、調査を着実に遂行しましょう。

 

目的が不明確なまま調査を実施しない

 

調査の目的が不明確だと必要な情報の収集や適切な調査手法を選定できず、調査の失敗に繋がってしまいます。目的を達成できなければ、人員・時間・費用などが無駄になってしまいます。
目的が明確に定まっていれば、把握したい情報も明確となり、そのための調査手法も検討しやすくなります。
「他社の動きを知りたい」など、ざっくりとした目的では効果的な情報が得られません。何のために、どのような情報が必要なのか精査することが大切です。

 

参考になり得る企業を対象とする

 

ベンチマーク調査は同業種の競合企業だけでなく、異業種の企業を対象に行っても有効な知見を得られる場合があります。自社が抱えている課題において効果を上げている企業、今後参入したいと考えている分野の企業は異業種であっても調査を行うことによって参考となる情報が得られるかもしれません。
一方、そうした条件に当てはまらない企業については調査を実施しても、有益な情報は得られないでしょう。自社にとって参考になるような情報を有している企業を対象としましょう。もし、対象先に悩んでいる場合は自社と対象先に共通項があるかなどを参考に選定してみましょう。

 

情報の偏りに注意する

 

収集した情報に偏りがないか、十分に注意しましょう。ベンチマーク調査においては情報の収集が難しいケースもあり、情報に偏りが出てしまう可能性があります。偏った情報ばかりだと情報の精度や質にも問題が出てしまいます。可能な限り、様々なところから情報を収集し、できる限り客観性をもたすことができるように取り組みましょう。

自社で行うベンチマーク調査における課題

ベンチマーク調査は自社で行うことも可能ですが、専門の調査会社ではない一般企業が行うには限界があります。調査会社へ依頼すべきか悩んでいる担当者の方に向けて、どのような課題があるのかを解説します。

 

情報の信頼性

 

調査を専門に行っていない人物が行うベンチマーク調査には、情報の信頼性に疑問が残ります。調査を実施するには、情報収集やレポート作成など、複合的なスキルが必要です。

未経験者がいきなり市場調査を始めても、必要な情報を集められず、いたずらに時間だけが過ぎてしまうことも少なくありません。

また、下記のような信頼性に欠ける情報源を参考にしてしまうことも考えられます。

 

● 個人の発信を情報源として作成されたもの(ブログ、SNSなど)

● 特定のホームページのみに記載された内容

 

これらは信憑性が不確かだったり、情報に偏りがあったりするかもしれません。こうしたソースを鵜呑みにしてしまうと、間違った情報をもとに戦略を進めていくことになってしまい、事業の失敗に繋がってしまうかもしれません。

 

分析力の不足

 

自社で独自に実施する調査は情報の取得だけでなく、取得した情報の取り扱いにも問題が起こる可能性があります。

情報を分析するノウハウが蓄積されていないと情報を収集できたとしても、そこから有益な情報を認識する、見極めるといったことができません。また、自社の人材のみで調査を実施すると、自社にとって都合の良い情報にばかり目が行きがちになるのも問題です。そうなってしまうと客観性に欠ける偏った調査結果となってしまい、その調査結果をもとに間違った方向に事業の舵をとるリスクが高まってしまいます。

 

調査範囲の設定ミス

 

ベンチマーク調査を頻繁に実施しているような専門家でなければ、調査目的・ゴールに応じて的確に調査範囲を絞り込むことは難しいでしょう。

ベンチマーク調査の内容によっては調査が広範囲に及ぶため、調査の目的・ゴールに対して適切に設定できていないと、下記のようなリスクがあります。

 

● 不必要な情報まで収集してコストがかさむ

● 情報量が多いだけで分析に足る要素が十分ではない

● 収集した情報の粒度が粗いなど

 

専門の調査会社は多くの企業の依頼を受けてきた経験から、調査方法・範囲を的確に判断できるため、効率的な情報収集が可能となります。

 

コストとリソース

 

自社で調査を実施するには多大なコストとリソースがかかるでしょう。ベンチマーク調査は、多角的に行う必要があるため、専門の調査会社ではチームを組んで行うのが一般的です。しかし、同レベルの調査を自社でやろうとすれば多くの人的リソースや時間・費用がかかってしまいます。現代では多くの情報に触れることができますが、その情報から自社に必要かつ正しい情報を精査するのは難しく、内容によっては多くの時間と人手が必要となってしまいます。仮に社内でチームを組んで調査を行うことが可能であっても、チーム内で情報取得の粒度を高める工夫も必要となるでしょう。このように目的に即したベンチマーク調査を完遂するには、多大なコスト・リソースの確保が課題といえます。

 

ベンチマーク調査は専門企業へ依頼しましょう

 

ベンチマーク調査は、競合他社との差別化や先進企業の事例の吸収などに大きな効果を発揮します。

ただし、ベンチマーク調査を行う際には事前準備を綿密に行うことはもちろん、情報収集のノウハウを知っておくことや、社内リソースを確保することなども必要です。

「競合他社の動きを知りたい」程度であればプレスリリースなどから情報を拾うだけで役に立つかもしれませんが、より質の高い情報を豊富に集めるのであれば、専門企業への依頼がおすすめです。一般的な企業が行う調査よりも有益な情報を収集できる可能性が高く、調査目的を達成しやすくなります。「マーケティングリサーチコンシェルジュ」ではプロの市場調査員が、貴社のマーケティングリサーチにおける課題解決のためベンチマーク調査の相談、企画、実施まで対応いたします。価格調査、アンケート調査、海外調査などにも幅広く対応可能です。

また、「マーケティングリサーチコンシェルジュ」では工業材料や情報通信・家電・エレクトロニクス、エネルギー・環境、機械・装置、自動車、メディカル、住宅・不動産、農林水産業、観光サービス分野など、幅広く多様な業界の調査にも対応しています。

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