X線検査装置の概要と市場動向を把握しよう
X線検査装置とは
X線検査装置とは、X線を対象物に照射し画像を撮影することにより、可視では確認できない部分を観察することが可能な機器です。X線は電子波の一つで、レントゲンとも呼ばれる放射線であり、皮膚や紙など低密度の物質は透過する一方、高密度の物質になると透過しません。また、照射した場所によって変化する光量の違いをとらえることによって、人体や物体の内部を確認することが可能です。こうした特性を活用し、X線を利用した検査は医療や研究、工業、食品製造、空港での手荷物検査にいたるまで幅広く活用されています。非破壊検査においては、X線検査装置であれば、内部をばらさず異物の検出が可能です。さらに対象物のサイズや形状に関わらず、異物を一度に大量に検出できることが強みです。
なお、X線検査装置は特定の一方向からの検出となるため、特に異物の有無を判断する際には有効です。一方、具体的な異物の大きさや形状は判断できません。このデメリットを解消できる機器として、X線を360度照射するX線CT検査装置も登場しています。
ちなみに、X線検査装置の価格は対応サイズや機能によって大きく異なります。サイズが小さな製品であれば比較的安価に入手できますが、複数の検査に対応する高機能商品の場合、価格は何倍にも跳ね上がります。
X線検査装置市場の動向
多様な分野で利用されるX線検査装置ですが、特に重宝されているのが医療用の画像診断です。但し、医療用の場合、人体に放射線を当てるため、被ばくの問題がつきまといます。
従来、被ばく低減と高画質の両方を備える装置の開発は難しいと考えられていましたが、近年は技術の進歩もあり、被ばくの低減と高画質の両輪を持つ製品が登場し始めています。
特にグローバルな販売網を持つX線検査装置メーカーでは、被ばくを低減するために線量マネジメントを行っています。透視する領域を狭め、スポット的に照射することにより患者が受ける放射線の量を減少させる取り組みです。加えて、皮膚への放射線量をリアルタイムで可視化できるモニターも導入しており、安全性を追求しています。
今後の展望や懸念点について
X線装置市場は今後も成長が続くと見込まれています。まず食品・工業製品等の安全性・品質に関して規制は強化される傾向があり、目視によるヒューマンエラーを防ぐ目的からX線による画像判定の導入が進むと期待されています。
また、高い成長が期待されているのが石油化学・ガス産業分野です。これらの産業においては、貯蔵タンクやパイプライン、生成装置の監視などにX線検査装置が活用されています。外部からの影響を与えることなく、内部の腐食具合を測定できるため、液体・気体の漏れや流出を事前に発見し、大きなトラブルを未然に防ぐことが期待できます。さらに宇宙産業や自動車産業においても非破壊検査の需要増に伴い、X線検査装置の需要が伸びると期待されています。
また、今後著しく成長し、市場を牽引する存在になると見られているのがダイレクトX線操作装置です。ダイレクトX線操作装置はリアルタイムで対象物の画像を生成できるため、製造ラインの監視においてはもっとも需要が期待できます。
このようにX線検査装置市場は、今後の成長が大いに期待できます。一方、常にトレンドは変化しており、ニーズに対応した製品の開発は必要となるでしょう。そうした点においては入念な市場調査の実施が欠かせません。市場調査の実施においては、専門の市場調査会社の利用がおすすめです。自社では得られない有益な情報の収集が可能となるかもしれません。市場のトレンド把握にあたっては市場調査会社の活用も検討してみましょう。