ゼオライトの概要と市場動向を把握しよう
ゼオライトとは
化学品は有機物(主に生物由来の物質)と無機物(主に生物由来しない物質)に分かれます。無機物は元素の数が豊富で、種類が多いのが特徴です。無機物の主要な用途は「合成樹脂・ゴム製品・合成繊維の添加材」「塗料・トナー・印刷インキ」「紙パルプ薬品」「電子情報材料」「水処理薬品」の5つが挙げられます。
ゼオライトは無機物の1つであり、ケイ素、アルミニウム、酸素を主成分とする結晶構造かつ多孔性のアルミノケイ酸塩です。分子レベルの微小孔が無数に存在し、吸着能や触媒能、イオン交換能など多様な性質を持っています。なお、イオン交換能とは、物質内に含まれるイオンが溶液にイオンを放出し、代わりに溶液中から別のイオンを取り込むことです。微小孔によって分子をふるい分けして、気体や溶媒中の水分を取り除きます。
また、ゼオライトは大きく、天然ゼオライト・人工ゼオライト・合成ゼオライトの3種類に分類されます。天然ゼオライトは炭酸塩や石英などと一緒に産出され、多様な種類があり、その多くが均一な結晶構造を持っていません。
人工的に作られた合成ゼオライトは吸着能やイオン交換能が大きいのがメリットである一方、合成にかかるコスト負担が生じる点はデメリットです。
こうしたデメリットを解決する素材が人工デオライトです。苛性ソーダと石灰水を反応させて合成し、配合や条件を調整することにより、コストを抑えつつ高機能のゼオライトを作り出すことが可能です。
ゼオライト市場の動向
ゼオライトにおいては近年、大気汚染や地球温暖化防止への活用が注目されています。具体的には二酸化炭素や窒素酸化物を吸着したり別の物質へ変えたりできる材料が求められており、古くから吸着剤や触媒として使用されているゼオライトは特に分野での需要が期待されています。現在もディーゼルエンジンの排ガスから窒素化合物を取り除く触媒として広く使用されています。
温暖化対策では二酸化炭素の排出量削減に焦点が当たりがちですが、さまざまな環境汚染を引き起こす窒素由来の物質に対する対策も必要です。
自動車や工場の排ガスに含まれる窒素化合物は大気を汚染し、浄化反応が不完全な場合に伴う一酸化二窒素は、温暖化ガスの一種でもあり、ゼオライトを活用した吸着・回収する技術の重要性が増しています。
また、天然ゼオライトは健康分野での利用が期待されています。もともと、その吸着特性や消化管から吸収されないという性質から、天然ゼオライトは整腸作用や有害物質の排出促進効果があります。近年、この天然ゼオライトは肥満・高血糖・高脂血症の改善に効果を示すことが大学の研究機関によって明らかになりました。過剰な糖質や脂質の吸収促進を防ぐ機能性食品の成分としてかねてより期待があり、今後は健康分野における需要創出が予想されています。
今後の展望について
ゼオライト市場は今後も成長が期待されており、特に洗剤業界での需要増加が見込まれます。これは、洗剤の製造に使用されていたリン酸塩ビルダーが現在は規制によってゼオライトに置き換える動きが起こっているためです。
合成ゼオライトは分子サイズが均一で、低濃度でも洗剤としての性能が高いことが魅力です。このことから環境面において安全なゼオライトが世界的に求められています。実際にリン酸塩ビルダーの使用を禁止した欧州以外にも、中国やインド、日本において合成ゼオライトの需要は増加傾向となっています。この他、環境分野や健康分野における需要も期待でき、今後の市場拡大が見込まれます。
なお、市場参入を決断する前には、入念な市場調査が必要です。マーケットリサーチにおいて「勝てる」市場か見極めることが重要であり、この結果、ビジネスの方向性が明確になるからです。また、質の高い情報を得るためには、自社だけで調査を実施するのではなく、専門的なノウハウを持つ市場調査会社の活用がおすすめです。
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