市場調査とは?調査種類やマーケティングリサーチの違い等を解説
マーケティングを行うにあたっては、市場や競合の状況や顧客ニーズ等の把握が必要となり、そのための情報収集が欠かせません。そういった情報収集は「市場調査」、「マーケティングリサーチ」とも呼ばれています。多くの方はこの2つを同じようなものだと考えているかもしれませんが、実際は異なります。
ここでは、「市場調査」とは何か、「マーケティングリサーチ」とはどのように違うのか、また、市場調査やマーケティングリサーチを実施する際のポイントをご説明します。
【目次】
1.市場調査とは?
2.定性調査と定量調査のメリット・デメリット
3.マーケティングリサーチとは?
4.市場調査とマーケティングリサーチの違い
5.海外の市場調査やマーケティングリサーチも可能
6.市場調査やマーケティングリサーチを行う上でのポイント
7.市場調査やマーケティングリサーチを積極的に行おう
市場調査とは?
市場調査とは、製品開発やサービスの販売促進などを行うにあたり、適切な戦略を立てるために参考となる情報を収集することです。
具体的には、【過去から現在に至る市場に関する動向を数字や文章等で把握すること】を指します。
こうした市場調査を実施することによって、把握すべき情報を収集・分析し、これらを製品やサービス開発に役立てることにより、事業拡大に繋げることができます。(「マーケットリサーチ」とも呼ばれます。「マーケティングリサーチ」と混同しないよう注意してください)。
例えば新しいノートパソコンを開発しようとする時、各企業は「ノートパソコンの出荷台数」「一台あたりの販売単価」、「売れている製品の価格、スペック」などの「現状」の市場に関する情報把握を行います。 これが市場調査です。
市場調査にはいくつかの調査方法が存在しますが、ここではもっとも一般的な方法をご紹介します。
定性調査
自分達が必要とする情報を有している対象者に対し、インタビュー形式などで質的情報を得る方法です。
こうした手法では数字では表れない価値の高い情報を収集でき、自分達がこれまで認識していなかった気づきを与えてもらえる可能性があります。
※関連記事「定性調査とは何か」
定量調査
自分達が必要とする情報を有している対象者(主に既存顧客やターゲット顧客層)に対しアンケートなどを用い、調査結果を統計的に把握し意義のある情報を収集する方法です。
また、定量調査においては数や量など、明確に把握できる情報を収集します。
※関連記事「定量調査を依頼すべきマーケティング会社選びに際して」
その他(覆面調査・オープンデータ調査)
その他には一般消費者を装って店舗やサービスの状況を確認する【覆面調査】や、政府や官公庁など公開情報を収集する【オープンデータ調査】などが挙げられます。
※関連記事「覆面調査の活用方法」
定性調査と定量調査のメリット・デメリット
定性調査と定量調査を比較すると、それぞれメリットと同時にデメリットも存在します。
定性調査のメリット
定量調査で把握できないヒアリング対象者の生の声を吸い上げることができる点が、最大のメリットです。
また、自分達が考えつかない新しい視点の意見を得ることによって、製品改良や開発を行うにあたって新たな気づきを得られる可能性があります。
定性調査のデメリット
定量調査に比べると、必要な情報を有している対象者のリストアップやヒアリングを行う手間がデメリットでしょう。
また、インタビュアーの能力によって収集できる情報の量や質が左右されるところも懸念点といえるでしょう。
定量調査のメリット
調査結果を数字で把握できるため、結果を理解しやすい点はメリットです。
また、定性調査と比べると回答を得やすいため、多くのサンプル結果から傾向を把握したい場合には適した手法といえるでしょう。
定量調査のデメリット
調査設計を行う際、質問文や選択肢の表記次第では、結果が大きく変化するリスクがあります。
また、定量調査の場合、基本は選択式のアンケートとなるため、質問に対する回答は選択肢の範囲でしか得られない点もデメリットといえるでしょう。
マーケティングリサーチとは?
では、市場調査とよく混同されるマーケティングリサーチとでは、何が違うのでしょうか。マーケティングリサーチに関しても簡単に触れてみましょう。
マーケティングリサーチは今後の市場動向、ニーズの把握をするための情報収集を指します。
市場調査が【過去から現在に至る市場に関する動向を数字や数値で把握すること】であるのに対して、マーケティングリサーチは【現在の状況を把握し、将来の予測や分析に役立てること】といえます。
中長期的な観点に立って、今後の市場やニーズを把握していくにはマーケティングリサーチが必要となるでしょう。
市場の動向やニーズを把握する点において、市場調査とマーケティングリサーチに違いはありません。ただし、過去~現在に軸を置くのが市場調査なのに対し、マーケティングリサーチは現在から将来に視点を置いたものになる点に違いがあります。
また、マーケティングリサーチにおいても定性調査や定量調査などが用いられています。次に実際のマーケティングリサーチにおける活用例の一部をご紹介しましょう。
製品テスト
顧客に販売を検討している新製品または既存製品を使用してもらい、その評価を得る方法です。製品に対する客観的な評価と課題に関する情報を得ることにより、今後の販売戦略や開発戦略等に役立てることができます。
事前事後調査
※関連記事「事前事後調査と広告効果測定調査について」
広告・キャンペーンといったプロモーションの実施前後における認知度やブランドイメージ等を比較し、その効果を検証し、今後のプロモーションの改善に繋げます。また、先に示した製品テストにおいても、製品の使用する前後における購買意欲の変化を確認するケースもあります。
ホームユーステスト
試供品を家庭に配布し一定期間利用してもらい、その結果を記録してもらう方法です。
製品に対する評価や課題に関する情報を収集でき、今後の開発等に活かすことができます。
※関連記事「信頼と実績を誇るリサーチ会社によるホームユーステスト」
市場調査とマーケティングリサーチの違い
ここまで、市場調査とマーケティングリサーチについてご説明してきましたが、まだはっきりと違いがわからない……という方もいらっしゃるかもしれません。
ここでは市場調査とマーケティングリサーチの違いについてまとめましたので、確認してみましょう。
過去か未来の違い
市場調査とマーケティングリサーチでは、調査のベクトルが違います。
市場調査は過去から現在に重きを置いているのに対し、マーケティングリサーチは現在から未来を対象としています。
市場調査の場合、過去から現在にかけての情報を収集し、現状の市場動向等を把握するのに対して、マーケティングリサーチは現時点の情報を収集し、将来の市場動向等の把握に役立てるという違いがあります。
目的の違い
対象とする時間軸の違いがあるため、市場調査においては現状の市場を把握することによって、新製品や新サービスの開発に役立てる場合が多くなっています。一方、マーケティングリサーチにおいては現在の市場に関する情報を参考に、今後における製品開発や販売戦略の検討に役立てるケースが多くなっています。
海外の市場調査やマーケティングリサーチも可能
企業によっては日本国内にとどまらず、海外での事業展開を行っているところも少なくないでしょう。また、これから海外に事業展開していきたいと考えている企業も多いのではないでしょうか。 しかし、現地の状況を把握せず海外展開を行ってもリスクが高く、失敗をする可能性も高くなってしまいます。
こうしたリスクを軽減するためにも、海外における市場調査やマーケティングリサーチを実施することは賢明です。
専門業者によっては海外における市場調査にも対応しています。海外ですでに事業展開している企業、または今後事業展開を検討している企業はこうした業者を大いに活用し、事業を成功に導きましょう。
では、実際に海外において市場調査・マーケティングリサーチを実施すると、どういった情報が収集できるのでしょうか。
特定の業界やサービスに関する情報を収集できる
市場調査やマーケティングリサーチを実施すると国内外問わず、特定の業界・サービスに関する様々な情報を収集することが可能です。
例えば対象とする業界やサービスの市場規模だけではなく、参入プレーヤーがどのくらい存在するのか、どのような参入障壁があるのかといった情報まで収集することが可能となります。
こうした情報は、今後の事業展開にあたっての戦略検討、新規参入の検討等に役立てることができるでしょう。
特定の企業に関する情報を収集できる
また, 市場調査やマーケティングリサーチを実施することにより、特定の企業に関する情報を収集することも可能です。
例えば、参入したいと考えている業界において、トップシェアを有している企業の売上高はどの程度か、規模を拡大させている要因は何なのかといった情報を収集することが可能です。
こうした情報は自社の戦略を立てる上で参考にすることができ、今後の業績向上に役立てることもできます。 もし、参考にしたい企業があれば専門会社に調査を依頼してみましょう。
市場調査やマーケティングリサーチを行う上でのポイント
調査会社に依頼をして市場調査やマーケティングリサーチを実施する場合、自社で調査を行うよりも作業の手間が軽減される点や、自社では把握できない情報を収集できるといったメリットがあります。このため、多くの企業が市場調査会社を積極的に活用しています。
しかし、業務を依頼するからといって全てを市場調査会社に任せていては効果的な調査を行うことはできません。
ここでは、調査会社に市場調査・マーケティングリサーチを依頼するにあたっての注意点をご紹介します。
調査の目的を忘れてはならない
まず大切なのは、調査の目的を忘れないことです。
調査会社は様々な情報を収集することができるため、依頼する側が調査を行うこと自体を目的にしてしまい、「何のために」調査を行うのかを忘れてしまうことがあります。
そのため、効果的な調査を行うにはどのような目的でどういった情報が必要になるのかをよく検討し、業務を依頼しましょう。
調査会社はどこに依頼しても同じではない
市場調査やマーケティングリサーチを専門に行う業者は、数多く存在します。
しかし、提供しているサービスの内容、対応地域には各社で違いがあります。
そのため、調査を依頼する前にどのようなサービスを提供しているのか、HPでの確認や、直接問い合わせを行うことが重要です。
複数の会社を比較し、自社のニーズに合った調査会社選びを行いましょう。
調査会社と十分な意思疎通を図る
調査を依頼するにあたっては、調査内容や費用、期間について十分な擦り合わせを行った上で業務を依頼しましょう。
この部分が欠けていると、想定するような成果物が得られません。
調査を行う目的、費用や期間に関する希望条件などできる限り詳細な情報を伝えることにより、調査会社は適切な内容を提案することができます。
効果的な調査を実施するには、まず調査会社と十分に意思疎通を図りましょう。
※関連記事「市場調査会社への依頼や選び方について」
市場調査やマーケティングリサーチを積極的に行おう
今後どのような動きをすれば業績を伸ばすことができるのか、企業にとって大きな課題かと思います。この問題の解決ヒントとなるのが、市場調査・マーケティングリサーチによって得られる情報です。
現状や今後のマーケット動向を把握することは、今後の戦略を立てる上でとても有効です。今後の業績拡大に悩まれている企業は市場調査会社を活用し、市場調査・マーケティングリサーチを積極的に実施することをお勧めします。市場調査・マーケティングリサーチによって、今後の成長のカギとなる情報をいち早く収集し、今後の事業成長につなげましょう。